痔核硬化療法(四段階注射法、ALTA療法、ジオン注)
痔核硬化療法とは、内痔核の腫れているところに薬剤を注射し、局所の炎症を起こさせて固めてしまう治療法のことです。現在行われている硬化療法は四段階注射法と呼ばれ、とても治療効果が高く、手術に匹敵すると言われております。別名ALTA(アルタ)療法やジオン注とも呼ばれます。
「四段階注射法」は、痔核の注射を4つの場所に分けて打つやり方から、「ALTA療法」という呼び方は、注入する薬剤の成分が硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸というもので、頭文字をとって、「ALTA」と呼ばれています。また、「ジオン注射療法」は、製品名が「ジオン注」というところから来ています。
方法
図のように1つの痔核を4つの場所に分けて考えます。実際はこのような部屋にはわかれていないので、大体の場所をイメージします。
痔核上極部粘膜下層(青色)
痔核中央部粘膜下層(緑色)
痔核中央部粘膜固有層(橙色)
痔核下極部粘膜下層(ピンク色)
そして直腸の奥から、第一段階(図で青色の部分)、第二段階(図で緑色の部分)、第三段階(図で橙色の部分)、第四段階(図でピンク色の部分)と順番に注射していきます。
第一段階の目的は、主に痔核に流入する血管をつぶし、痔核への血流を遮断することです。
そして第二、第三、第四段階も注射することで、その下の腫れていた粘膜も収縮し、接着剤のような作用で直腸壁に張り付くのです。
治療の流れ
1.点滴
点滴をとります。
2.ベッドに横になります
その際シムス体位と言って左横向き、両膝を軽くお腹の方曲げた体位で、お尻を軽く突き出します。(バスタオルをかけなるべく露出しないように配慮します。)
3.観察
肛門鏡を挿入し観察します。
治療すべき痔核の大きさや個数を確認します。
通常局所麻酔の注射は必要ありませんが、肛門が狭く肛門鏡が痛い方には局所麻酔を併用します。
4.注射
それぞれの痔核に注射をします。
肛門鏡を覗きながら、1か所の痔核に対し順番に4段階の注射を行います。治療中は肛門鏡の圧迫感や不快感はありますが、注射による痛みはありません。
逆に痛みがあるときは、注射の部位が適切でない可能性がありますので、その場で『痛い』と医師に伝えましょう。
5.マッサージ
マッサージをします。
このように4か所注射したのち、注射した薬液が痔核全体にまんべんなく広がるように、指でマッサージを行います。この操作は患者様にかなりの不快感を与えます。
ここが一番気持ち悪いとおっしゃる方も多いです。
以上で一つの痔核に対する治療が終了します。
6.繰り返し
複数の痔核がある場合は繰り返し行います。
通常は2か所から3か所に行うことが多いです。
7.座薬
座薬を入れて終了です。
しばらく点滴をしながら20分ほど安静にします。
8.会計
お疲れ様でした。気分が良ければ帰宅可能です。
翌日診察にお越しください。