2024年12月17日
いよいよ年末が迫ってきました。
皆さんご準備はいかがでしょうか。
年賀状、大掃除などこれからが勝負ですね。
私も年々心の準備は進めておくのですが、
やはり最後まで時間に追われるのは変わりなしです。
皆様も体調に気を付けて無理せず頑張ってください。
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今回は胃のポリープについてのお話です。
毎日胃カメラ検査をしていると、
最もよく遭遇する病変の一つが胃のポリープです。
胃のポリープは治療対象となることが少ない、
ほとんどの場合は経過観察で済みます。
一方大腸ポリープの場合は、
その場で切除することが多々あります。
胃ポリープと大腸ポリープでは、扱いが大きく異なるのです。
この違いは、ポリープの性質によるものです。
胃ポリープの多くは、
癌化するリスクが低い性質のものです。
例えば胃の場合
・過形成性ポリープ
・胃底腺ポリープ
といった種類のポリープが多いのですが、
これらは癌になる確率が非常に低いことが知られており、
不要な切除や手術による体への負担を軽減するために
経過観察が選択されることが多くなります。
次に、
ポリープの形状も判断基準の一つです。
例えば、
10mm未満の小さなポリープ
表面が平滑で規則的な形状
このような場合、
悪性化の可能性は限りなく低いため、
切除の必要はありません。
年に一度程度内視鏡検査で、
大きさや形状の変化を観察するだけで十分とされます。
では、どのような胃ポリープが
切除対象となるのでしょうか?
主に以下のケースです。
10mm以上の大きなポリープ
形状が不整で表面に潰瘍が見られる場合
悪性化のリスクが高いと判断された場合
内鏡観察や生検(病理組織検査)で
悪性または前癌状態が疑われる場合は、
早期切除により高い治療効果が期待できます。
また、良性のポリープであっても、
出血しやすいもの
慢性的な貧血の原因となるもの
これらがもしあった場合は、
切除が検討されることがあります。
一方、大腸ポリープは頻繁に切除されます。
これは大腸ポリープの多くが
腺腫と呼ばれるポリープで、
成長すると癌化するリスクが高いためです。
過形成ポリープの中でも
切除対象となるものがあるため
大腸カメラの際に切除されることがあります。
このように、
胃ポリープは切除せず経過観察となることが多いのに対し、
大腸ポリープはその場で切除するケースが多いのです。
胃ポリープと大腸ポリープでは、
その性質や対応方針が大きく異なるため、
正しく理解することが重要です。
吉岡医院 吉岡幹博