京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院 京都市上京区
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痔核、裂肛の保存的治療について(①お薬編)

2024年8月27日

皆さんこんにちは。
吉岡医院の吉岡です。

さて、今回は
痔核、裂肛の治療について
簡単に説明しようと思います。

 

痔核、裂肛などでは、
手術などの痛みを伴う治療が必要ではないかと
心配されることも多いと思います。

しかし実際のところ8割程度の患者様は、
手術ではなく保存的治療といいまして、
軟膏や飲む薬の薬物療法で治療をされています。

また排便状況なども痔核には大きな影響があり、
生活習慣の改善、見直しなども、
痔核の治療としては大切な要因となっています。

今回は痔核、裂肛の保存的治療における、
薬物治療についてご説明したいと思います。

 

痔核、裂肛の薬物治療は、
外用剤と内服薬が使われますが、
メインは外用薬となります。

外用薬にはステロイド入りの軟膏、坐剤と、
ステロイドの含まれていない軟膏、坐剤の
おおきく分けて2種類があります。

 

ステロイド入りは入っていないものに比べ、
抗炎症作用が強く主に急性期に用います。

例えば急に内痔核が腫れて飛び出すようになった、
又は今まで飛び出しても指で戻っていた痔核が、
戻らなくなり腫れてきたとき。

また肛門の外側に大きな外痔核ができ、
腫れて痛みが強い時など症状の強い時には、
ステロイド入り軟膏を使用するケースが多くなります。

一方ステロイドの入っていないものは、
痛み止めが含まれていて、
長期間の使用にも副作用が少ないとされています。

それなので急性期をステロイド入りの軟膏で治療し、
一旦症状が改善した後はステロイド無しの軟膏を使用し、
長期的な治療を行うことが多いと思います。

 

ステロイド入りの軟膏には、
ネリザ軟膏、プロクトセディル(ヘモレックス)軟膏、
強力ポステリザン(ヘモポリゾン)軟膏があります。

最も強いステロイド入りの軟膏はネリザ軟膏で、
使用期間も1~2週間程度に限定されています。

その次に強いステロイド入りの軟膏は、
プロクトセディル軟膏で、強力ポステリザン軟膏は、
名前のわりにマイルドのようです。

これらの軟膏はステロイド入りですので、
あまり長期に使用しな方がいい面もありますが、
実際のところはこれといった副作用もないようです。

またステロイドの入っていない軟膏は、
ボラザG軟膏というものが唯一あり、
主に局所麻酔薬とドリベノシドという成分が、
創傷治癒促進、抗炎症、循環改善の効果があります。

こちらはステロイドが入っていないので、
月単位、年単位で使用されても
副作用はないとされています。

 

軟膏の使い方としては1日2回が一般的です。
朝は排便後、夜は入浴後や就寝前です。

就寝前(入浴後)に使用することにより、
翌朝の排便が潤滑的な役割により
朝の排便がスムーズになる効果もあります。

また坐剤を使用する際には、
乾いたままでは挿入しにくいので、
先端に塗布する軟膏を一緒に処方します。

軟膏か坐剤かは好みによるところですが、
患者様の使いやすいと思われるほうで
よろしいかと思います。

 

また内服薬には、
抗炎症作用をもつヘモナーゼ、ヘモリンガルがあり、
抹消循環改善作用薬としてヘモクロンがあります。

最もよく使われている内服薬はヘモナーゼで、
蛋白分解酵素による抗炎症・抗浮腫作用ともに、
トコフェノール酢酸エステルによる
創傷治癒作用も有するとのことです。

ただこちらは飲み薬ですので、
軟膏と違いどれくらい局所に効果を発揮するか、
わかっていないところもあります。

主に軟膏の補助として処方されていて、
単独で使用されることは少ないと思います。

 

また便秘や下痢などの排便障害を伴う場合、
痔の治療として排便コントロールはとても重要です。

従って痔核の内服薬ととともに
便通改善の内服薬も処方されることが多いです。

 

以上、内痔核、裂肛の保存的治療に用いられる
軟膏や内服薬の説明を行いました。
参考になりましたでしょうか。

次回は生活習慣の改善を目指した
生活指導についてご説明したいと思います。

 

吉岡医院  吉岡幹博