2024年7月17日
梅雨がなかなか明けないですね。
じめじめと蒸し暑く、
体調不良の方や胃腸炎の方が
多くなってきました。
加えてコロナや溶連菌感染も広がっていて、
これから夏の旅行シーズンに向けて、
感染拡大も懸念させれます。
皆様もご注意ください。
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先日胃アニサキス症の患者様が来院されました。
前日にスーパーで生のサバを購入し、
夕食でそれを酢でしめて食べられたとのことでしたので、
ご自身からアニサキスを疑っておられました。
胃の症状がそれほど強くなかったことより、
私も緊急で胃カメラをするかどうか少し考えました。
見るからにアニサキスが疑われる場合もあれば、
ひょっとしてアニサキスかなと迷うこともあり、
時には胃カメラをしても見つからないこともあります。
ただ今回は、
状況から強く疑われるため実施しました。
食道から胃の中に入り、
少し進んでいくと、
早速発見しました!
これですね。
少し透明感のある細長い虫体で、
頭部は粘膜にかみこんでいます。
1匹とは限らないので、
胃の中や見える範囲の十二指腸、食道など
隅々探し回ります。
どうやら他にはいないようです。
多い時には4,5匹見つかることもあり、
摘出に苦労することもあります。
ぐるっと一週観察を終えれば、
いよいよ捕獲に行きます。
鉗子で虫体をつかみゆっくりと引っ張ります。
強く引っ張ると途中で切れて、
頭部が粘膜に残ってしまいます。
綱引きのような形なりますが、
ここまで来ると勝ちですので、
慎重にゆっくりと引き抜きます。
捕獲に成功しました!
カメラから鉗子を引き抜いて摘出完了です。
噛みついていた場所から少量の出血がありますが、
周囲の粘膜はほとんど腫れていません。
通常はもっと赤くなって蕁麻疹のようにむくんでいます。
今回の症例がそれほど痛みが強くなかったのは、
粘膜の炎症の波及が軽かったためと思われます。
アニサキスによる胃の痛みは、
アニサキスが粘膜をかみこんだ痛みではなく、
それに対するアレルギー反応で起こります。
摘出した後も少しは痛みが残りますので、
胃潰瘍のお薬と花粉症で使うような
抗アレルギー剤を処方し終了します。
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最近自宅でとっている小学生新聞に、
アニサキスの話題が載っていました。
魚の切り身の中にアニサキスがいるかどうか、
AIを使って発見しようというものです。
AIにアニサキスのいる生魚の画像を学習させると、
実際の魚で指摘できるようになるようです。
件数を重ねるとさらに精度が上がるでしょう。
スーパーで実際に利用されていくそうです。
今はAIがいろいろな分野で利用されていますね。
現在は胃カメラ、大腸カメラにもAI搭載のものが出て、
各社が開発を急いでいます。
当院ではまだ導入されておりませんので、
当分は医師(私)の知能でやってゆきますが、
ゆくゆくは導入できればいいと思っております。
吉岡医院 吉岡幹博