2024年4月27日
今日からGWが始まりましたね。
私は今日は普段の土曜日と同様診療しておりましたので、
私のGWは明日からということになります。
コロナも今のところは落ち着いているようです。
5類移行以降初めてのGWですので、
お出かけされる方も多いと思います。
日によって気温差が激しいので、
体調にはお気をつけ頂き、
楽しい休日をお過ごしください。
当院は暦どおりの休診となりますが、
後半は5月2日木曜日から休みになります。
よろしくお願いいたします。
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今回は溶連菌感染症について
お話しさせていただきます。
お子さんがかかることが多い溶連菌感染症ですが、
ここ数か月は流行に伴い、
大人の方でかかっている方も増えています。
溶連菌感染症は、
溶連菌(溶血性レンサ球菌)が主にのどに感染して、
発熱やのどの痛みなどが出る感染症状のことです。
この数年はコロナの流行で予防したせいか、
流行がなかったのですが、
昨年10月ころより流行しています。
主にお子さんがかかる病気ですが、
流行すると大人の方にも広がります。
のどの痛みは風邪症状でよく見られますが、
最近は大人でも積極的に溶連菌検査を行うようになり、
感染者の方が多いことに気づかされます。
溶連菌の主な症状としては、
発熱・のどの痛みリンパ節の腫れ・倦怠感です。
潜伏期間は2~5日。
その後、突然、発熱と喉の痛み、倦怠感がでてきます。
具体的な症状としては、
発熱(38℃以上)
唾を飲み込むとのどが痛い
のどや扁桃腺が腫れ、口の中に白い部分がみられる
咳やくしゃみがほとんど出ない
鼻水、鼻詰まり等の症状があまりない
腰、肘、膝、足など比較的大きい関節の痛み
となります。
溶連菌感染症の主な感染経路は、以下の3種類です。
飛沫感染(咳やくしゃみなどの、細菌を含んだ唾液を吸い込む)
接触感染(皮膚に付着した細菌が、傷口などの粘膜に接触)
経口感染(細菌が付着した食品を食べること)
感染者と一緒に食事をすることで感染リスクが高まります。
また感染力は急性期(症状が出始めた頃)に
最も強くなり徐々に弱くなるため、
症状のない保菌者からの感染の可能性は低いようです。
学校や保育園などの集団生活施設で流行し、
子供から家族間に感染が広がるケースが多いとされています。
そのため子供がいるご家庭では、
大人にも感染するリスクが高まります。
ストレスや過労、睡眠不足などで免疫力が低下している場合は、
通常よりも感染しやすいため注意が必要です。
診断には簡易キットを用います。
インフルエンザやコロナは鼻腔から採取しますが、
溶連菌は喉の奥から検体を採取します。
検査キットで10分から15分で結果が出ます。
溶連菌感染症の治療にはペニシリン系の抗生物質を使用します。
ペニシリン系の抗生物質にアレルギーがある場合には
エリスロマイシン、クラリスロマイシンを内服します。
また、セフェム系の抗生剤などを使用することもあります。
翌日には症状が治まったと油断して、
薬をやめてしまう人がいるのですが、
溶連菌は、薬をやめた途端にまた増殖を始めます。
治ったと思ってもぶり返すことがあるので、
処方された薬は全て飲みきることがとても大事です。
溶連菌には風邪症状以外の合併症があります。
肺炎
蜂窩織炎
中耳炎
敗血症
髄膜炎
リウマチ熱
急性糸球体腎炎
とびひ(伝染性膿痂疹)
猩紅熱
注意すべき合併症は、
「リウマチ熱」と「急性糸球体腎炎」の2つです。
リウマチ熱は、
溶連菌感染後の免疫反応によって生じる合併症です。
溶連菌感染症を起こしてから、
2〜3週間で発症することが多いですが、
数ヶ月後に症状が出ることもあります。
リウマチ熱の症状は以下の通りです。
発熱
関節炎
心臓の炎症
神経刺激による不随意運動
皮膚の発疹やしこり
私は診断したことがないので、
この辺りは教科書レベルの話です。
急性糸球体腎炎は、
溶連菌感染後約10日間の潜伏期間を経て、
発症することが多い腎臓の病気です。
症状は以下のものがあります。
顔面や足の浮腫み
肉眼的血尿
乏尿(尿が少なくなること)
一過性の高血圧
発症後時間の経過とともに自然に改善していきますが、
時に尿所見異常が持続し腎機能障害が残ることもあり、
注意が必要な疾患です。
血液検査や尿検査にて診断が可能です。
当院では念のため、
治癒後2~4週間後に検尿に来ていただいています。
職場への復帰ですが、
日本学校保健会では、以下のように定義されています。
「適正な抗生剤治療開始後24時間を経て
全身状態が良ければ登校可能」
大人には「仕事を何日間休まなければならない」
という法律はありません。
抗生物質を飲み始めてから24時間経過すれば
感染力はなくなると言われており、
症状も2~3日で治まります。
熱が下がり他の症状もなければ
出勤することは可能ですが、
職場や学校で規定がある場合は規定に従ってください。
以上溶連菌についてまとめてみました。
どの感染症でもそうですが、
溶連菌感染症も、
免疫力が弱まると感染しやすくなります。
乱れた食生活やストレスなどは、
免疫力を低下させる原因になりかねません。
普段から規則正しい食生活を送り、
免疫力を高めておくことが大切です。
吉岡医院 吉岡幹博