2024年3月17日
3月も中旬となりました。
朝晩はまだまだ寒いですが、
日もだんだん長くなり、夕方になっても
まだ少し明るさを感じるようになりました。
2024年の京都の桜の開花は3月24日、
満開は3月31日、見頃は3月30日~4月6日頃と
予想されいます。
あと1週間ほど、
ワクワクして待ちたいと思います。
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さて、
皆様ももうすでにご存じかもしれませんが、
京都市で麻疹が発生しました。
京都市では5年ぶりの発生とのことです。
先日大阪で感染者の報告があり、
海外からの航空機内で感染したものとみられています。
今回の京都の発生は、その航空機での感染者と、
関空での接触によるとみられています。
京都の感染者の行動歴として、
周囲に感染の恐れがある発症前日の3月6日、
京都市と大阪市を鉄道で往復していたとのことです。
正午ごろから午後1時ごろ近鉄東寺―丹波橋―京阪京橋を利用し、
午後9時20分ごろから10時10分ごろにかけて、
同じルートで東寺へ戻ったそうです。
潜伏期間は10~12日間で、
市は男性と接触した人が感染した可能性があるとして、
注意を呼びかけています。
麻疹は麻疹ウイルス
(Paramyxovirus科Morbillivirus属)
によって引き起こされる感染症です。
感染者が1名出ただけで大騒ぎになるのは、
その感染力の強さによります。
免疫がない集団に1人発症者がいた場合、
12人~18人に感染するとのことで、
インフルエンザは1人~2人の感染ですから、
はしかの感染力は圧倒的に強いといえます。
空気感染・飛沫感染・接触感染・屋内屋外関係なく、
多少ソーシャルディスタンスとっても防ぐのは難しく、
免疫のない方は高率に感染してしまいます。
まれな疾患ですので、
私も今までに感染者を診療したことはありません。
それなので調べた範囲でしかありませんが、
麻疹の病状についてご説明いたします。
典型的な臨床経過としては、
10~12日間の潜伏期を経て発症し、
カタル期(2~4日間)、発疹期(3~5日間)、
回復期へと至るとのことです。
発症した人が周囲に感染させる期間は、
症状が出現する1日前(発疹出現の3~5日前)から
発疹出現後4~5日目くらいまでとなります。
唯一の有効な予防法は、
ワクチンの接種で免疫を獲得することであり、
2回のワクチン接種により効果が期待できます。
定期接種(1歳児、小学校入学前1年間の小児などが対象)
を受けていない人、
あるいはこれまでに麻疹に罹っておらず、
ワクチン接種の有無が不明な人は受けるべきでしょう。
それぞれの時期による症状は以下の通りです。
<カタル期>
感染後に潜伏期10~12日を経て発症します。
38 ℃前後の発熱が2~4日間続き、
上気道炎症状(咳嗽、鼻漏、咽頭痛)と
結膜炎症状(結膜充血、眼脂、羞明)が現れます。
発疹出現の1~2 日前頃に頬粘膜の臼歯対面に、
やや隆起した約1mm 径の白色小斑点
(コプリック斑)が出現します。
<発疹期>
カタル期での発熱が1℃程度下降した後、
半日くらいのうちに再び高熱(多くは39.5 ℃以上)が
でます。(2峰性発熱)
特有の発疹が耳後部、頚部、前額部より出現し、
翌日には顔面、体幹部、上腕におよび、
2日後には四肢末端にまでおよびます。
発疹が全身に広がるまで、
発熱(39.5℃以上)が3~4日間続きます。
発疹ははじめ鮮紅色扁平ですが、
まもなく皮膚面より隆起し、
融合して不整形斑状(斑丘疹)となります。
発疹は次いで暗赤色となり、
出現順序に従って退色します。
<回復期>
発疹出現後3~4日間続いた発熱も回復期に入ると解熱し、
全身状態が改善してきます。
発疹は退色し、色素沈着がしばらく残ります。
合併症のないかぎり7~10日後には回復します。
麻疹で問題となるのは合併症です。
約3割の麻疹患者が合併症を起こすといわれます。
頻度の高い中耳炎やクループ症候群をはじめ、
さまざまな合併症が知られていますが、
特に注意しなければならないのが肺炎と脳炎です。
麻疹の死亡率は0.1~0.2%で、
亡くなる原因のほとんどが肺炎か脳炎となっています。
脳炎を起こすと、20~40%で後遺症を残します。
13日の京都市からの発表後、
当院にワクチンや抗体検査の問い合わせが多数あり、
実際多くの方が抗体検査を受けられました。
麻疹は空気感染するため、
手洗いやマスクでは予防が十分いできません。
そのためワクチンによる予防が最も重要です。
しかしながら、
麻疹のワクチンであるMRワクチンは、
14日のうちに入手困難となりました。
抗体検査をして抗体価が不十分であっても、
現状はワクチンを打つことができません。
しばらくは需要が供給を大きく上回るものと考えられ、
ワクチン入手困難な状況が続くかもしれません。
皆様におかれましては、
まずは過去2回のワクチン接種歴があるかどうか、
ご確認ください。
接種歴のない方、不明の方は、
一度抗体検査だけでも
受けて見られたらどうでしょうか。
今後の発生状況に十分注意していただき、
抗体がない場合はワクチン供給がされた際に、
早めに打つようになさってください。
吉岡医院 吉岡幹博