2023年12月7日
とうとう12月になりました。
学生の頃は冬休みにクリスマスにお正月と、
イベントを控えてワクワクしていた記憶がありますが、
今となっては仕事や年越しの準備で忙しくなるので、
1年で最も気が重い時期となっています。
皆様はいかがでしょうか。
医院ではインフルエンザの患者様が急増し、
インフルエンザ専用の検査キットが不足しています。
(インフル・コロナ共通のキットで対応しています)
今年はコロナが5類になった最初の冬ですので、
コロナ対策の緩和でマスクをする機会が減り、
インフルエンザの患者さんが多くなっています。
皆様もお気を付けくださいね。
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さて、
私事ではありますが、
今年の9月で50歳になりました。
体力や記憶力、仕事での集中力、視力など、
少しずつ衰えを感じる今日この頃ですが、
おそらく免疫力も衰え始めているものと思われます。
そこで今回、
かねてから50歳になったら打とうと考えていた、
帯状疱疹ワクチン「シングリックス」を打ってみました。
シングリックスは筋肉注射です。
イメージとしてはコロナワクチンに似ていて、
肩の近くの筋肉に注射します。
副反応もコロナワクチンと似て
比較的強いワクチンです。
私も昨日打ったのですが、
強力な免疫誘導作用があるためか、
昨日から今日にかけて明らかに注射部位が痛みます。
熱はありませんが、
若干の倦怠感もあります。
これは休みの前の日に打つのがいいかもですね。
皆さんもご存知かもしれませんが、
帯状疱疹ワクチンは50歳になると打つことができますが、
その帯状疱疹ワクチンには2種類があります。
一つは子供で使用している「水痘ワクチン」で、
これは生ワクチンと言ってウイルスを弱毒化したものを
打って免疫を付けるものです。
弱毒化しているので、
免疫の応答や持続性は低めで、
有効率は50%、5年間の持続性効果は60~70%と
あまり高いとは言えません。
特に帯状疱疹の発症リスクが高まる80歳以上では、
有効率は18%しかありません。
これでは十分予防できないですね。
それとは対照的に
帯状疱疹予防に特化して作成された「シングリックス」は
不活化ワクチンと呼ばれる種類のものです。
不活化ワクチンというのは、
ウイルスのたんぱくの一部を抗原として、
それに対する抗体を作るものです。
生ワクチンと違い、
体の中で増えたりしないので、
免疫力がつきにくいのが特徴です。
そのため不活化ワクチンは、
複数回接種が必要なものが多いです。
シングリックスはウイルスの糖タンパクEを抗原として、
抗体を発現させるのですが、それだけでは作用が弱いので、
作用を増幅させるアジュバントというものを付加しています。
抗原とアジュバントの組み合わせが良かったので、
シングリックスは従来の不活化ワクチンより
高い予防効果を示しています。
50歳以上の予防効果は97%で、
帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症件数は、
臨床試験では0件だったそうです。
70歳以上の方でも89%の有効性があり、
PHNの割合もプラセボ28件に対し、
4件に減少していたとのことです。
帯状疱疹ワクチンに期待する効果は、
もちろん帯状疱疹の発症予防ということですが、
このPHNがいかに防げるかというところにあります。
その点ではこのワクチンを打っておけば、
PHNになる割合がかなり低くなる点で、
大変意味のあるワクチンと言えます。
シングリックスは当院では1回22,000円(税込)で、
2か月あけて2回打つ必要があり、
費用も掛かってしまいますが、
今のところ有効期間が10年を超えています。
1年で換算すると4,400円となり、
インフルエンザワクチンよりも少し高いくらいの
費用感となりますので、
そう考えると打ってもいいのかなと思います。
帯状疱疹は50歳から増え始め、
80歳を超えるとさらに増加し、
3人に1人が発症すると言われています。
神経痛が残ってしまうと、
場合によっては日常生活がまともに送れないほどの
痛みを生じることがあり、生活の質を落とします。
そのため発症しないように予防するのは
人生を豊かに送る意味でも大切かと思われます。
一度帯状疱疹にかかった方でも、
何かの機会にまた発症することもありますので、
打っていただくことが可能です。
発症後の打つ時期については、
はっきり定まっていないようですが、
2か月くらいたてばいいのではないかとのご意見でした。
皆様のご参考になれば幸いです。
吉岡医院 吉岡幹博