2023年10月27日
秋が深まってまいりました。
内視鏡検査の予約を見ていると、
12月末から来年1月の予定もちらほら入ってきています。
年末がだんだん迫ってきているのを実感します。
私はこの時期になると、
何となく焦ってしまいます。
皆様はいかがでしょうか。
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さて、今年2月のブログで、
様々な医療機器にも
AIが搭載されている話をいたしました。
その際に大腸カメラにAIが搭載され、
ポリープを自動で発見、診断してくれる時代が来たと
お伝えしておりました。
しかしながら当時の講演では、
まだ精度が十分ではなく、
実際の現場で使用するにはまだ難しいとの認識でした。
ポリープではない粘膜の膨らみや便の残りなど、
その様なポリープに見違えるのものすべて拾っていて、
かえって検査の時間がかかってしまうとのことでした。
昨日は別の講演会で、
府立医大の先生が大腸カメラ講演をしておられました。
その際にポリープのAI診断の話題が上がっておりましたが、
AIによるポリープ診断もバージョンアップし、
大きく診断能力が向上したとのことでした。
これまでのポリープでないものをポリープとして
認識するようなことは大幅に改善し、
キチンとポリープのみを拾い上げるようになったそうです。
そして医師が見落としがちな平坦なポリープや
色調が粘膜と変わらないものまで
拾い上げるようになったそうです。
医師のポリープ発見率(ADR)も、
AI併用では10%近く上昇したとの報告もあり、
これはかなりすごいことになっているようです。
特に医師にとってありがたいのは、
画面の中心にないポリープを
指摘してくれるところかと思います。
大腸カメラでポリープを探しながら検査していると、
どうしても画面の中央付近に目が行って、
画面の端の方のポリープは見落としがちになります。
コンピュータには中央も端っこも関係ありません。
それらを全て一様に拾い上げるので、
人間単独よりポリープの診断率が上がるようです。
それも見つけるだけでなく、
切除すべきポリープかどうか、
また癌であれば進行の程度まで診断するようです。
AIなのでソフトはずっと学習を続けています。
個々の医療機関で学習するのではありませんが、
学習させたソフトを定期的に更新することにより、
それぞれの医療機関でも精度が上がっていくとのことです。
このままでいくと、
エキスパートと呼ばれる大腸カメラ専門の先生方と同等の、
またはAIの方が精度の高い診断をするようになるかもしれません。
過去の先生方が経験を積んで習得された診断を
これからはAIが代行してくれる可能性もあり、
すごい時代になってきたなと思います。
私も病院勤務時代は、
複数の医師と検査を行っていたので安心でしたが、
今は一人で検査を行っています。
AIが搭載されることにより、
もう一人の医師と検査を行っているような安心感がでるなら、
私もぜひ使ってみたいと思います。
吉岡医院 吉岡幹博