2023年9月17日
9月も中旬ですが、
日中の気温はまだまだ30度を超えて、
蒸し暑さの残るこの頃です。
9月にしてインフルエンザの流行を迎え、
現在はコロナ・インフルの同時流行の状態です。
学校や家庭内でも感染者は急増しています。
コロナも5類となり軽視しがちですが、
かからないに越したことはありません。
皆様もお気を付けください。
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今回は今秋から開始となる
コロナワクチンのお話です。
今回が多い方で7回目になると思われます。
一番最近のコロナワクチンは2価ワクチンで、
最初の株と、BA.1あるいはBA.4-5のオミクロン株の
二つを含めたワクチンでした。
今回のワクチンは、オミクロン株の中でも
現在流行しているXBBというタイプの株のみの
1価ワクチンとなっています。
京都市は基本的には個別接種(クリニックで打つ)で、
10月からは集団接種会場や高齢者施設でも
接種が行われる予定となっています。
接種対象は、初回接種・追加接種とも
生後6か月以上方全員の方となります。
ワクチンはファイザー社とモデルナ社製の2種類で、
モデルナ社製は追加接種のみに使用します。
今回も自己負担はありません。
前回の接種から3か月以上開ければ可能となります。
接種券は9月15日から順次届きます。
私にも16日に届きました。
これまでに未使用の接種券がある場合はそれを使用し、
未使用の接種券がある方には新しいものは届きません。
紛失した場合は、
「京都市新型コロナワクチン接種券再発行・接種証明書申請窓口」
にお問い合わせいただけると対応されるそうです。
今年5月からコロナウイルス感染症が5類となり、
現在は第9波のピークを迎えているところです。
当院の発熱外来には、
毎日多くのコロナ感染者の方が来られます。
その中には2回目にかかる人も増えています。
コロナウイルスも急速に変異をするため、
もはや起源株に対するこれまでのワクチンを打っていても、
現在の変異株に対する効果は減弱していると言われています。
これまでコロナウイルスは、
α株、β株、オミクロン株というように変異を続け、
その都度感染力の高まるものについては流行してきました。
これまでは過去にコロナにかかった方や
ワクチン接種をされた方は、
ある程度免疫がつきコロナ感染が防ぐことができました。
しかし現在流行している「XBB系統」は
ワクチン抗体や発症で得た抗体が効かなくる「免疫逃避」が
過去のコロナ変異株より高いことが分かっています。
従って新規の感染、再感染ともに多くなっています。
これまで何回かコロナワクチンを打って、
「5類にもなったし症状も大したことないしもういいかな」
と思っておられる方も多いと思います。
しかし先ほども述べたように、
XBB系統の変異株には、これまで免疫効果が
十分に発揮できない可能性があります。
従って今回のXBB対応1価ワクチンは、
これまでに接種をした方もこれまでに感染をした方も含め
打っておいた方がいいのではと思います。
今後主流になると考えられる注目株が2つあります。
1つは「EG.5」という変異株です。
EG.5はオミクロンの派生型「XBB」の1種に変異が加わったもので、
通称「エリス」と呼ばれています。
因みにエリスは、ギリシア神話の不和と争いの女神です。
世界保健機関(WHO)は「EG.5」を、
8月9日に「注目すべき変異株(VOI)」に指定し、
各国にモニタリングを呼びかけています。
いくつかの研究では、他の変異株よりも
簡単に免疫を突破する可能性が指摘されています。
しかし重症化にはつながっていないとのことです。
もう一つは
オミクロン株BA.2から新たに派生した変異株「BA.2.86」で、
こちらは通称「ピロラ」と呼ばれています。
7月下旬にデンマークで初めて確認され、
イスラエル、米国、南アフリカ、英国に出現しました。
日本では9月7日に東京都内で初めて確認されています。
この変異株の脅威は、
最近の優勢株である「XBB.1.5」と比較すると、
BA.2.86には30以上の新たな変異が存在するということです。
過去にこれほど大きな遺伝子の変化が確認されたのは、
デルタ株からオミクロン株への最初の移行のときだけだそうで、
このときはパンデミック最多の入院患者と死者が出ています。
ではこのように今後流行する可能性のあるオミクロン株に対し、
この秋から始まる「XBB対応1価ワクチン」は、
はたして有効なのかという疑問がわきます。
これに関しては有効であるとのことです。
「XBB対応1価ワクチン」を打つと、
エリスは中和抗体が28倍、ピロラでは8.7倍になるとのことで、
ワクチンとして感染予防効果はあると考えられています。
今回のワクチンを打つかどうかですが、
私が個人的に考えていることに以下の3つがあります。
① XBB系統の変異株には、
これまでのワクチンは効果が少なく、
既にかかった方でも再感染のリスクが高いこと。
② 5類移行に伴い、
今後コロナワクチンが有料化される可能性があり、
全国民が無料で受けられる最後の機会になるかもしれないこと。
③ コロナの抗ウイルス薬が今後自己負担が発生することや、
5類移行後で入院など医療提供体制が縮小される可能性があり、
感染時に十分な医療が受けられなくなる懸念があること。
これらのことを考えると、
これまでのワクチン接種歴のある方も、
打っておいた方がいいのではないかと思います。
ただコロナワクチン接種は様々なご意見があり、
接種するかどうかの対応も人それぞれです。
当院では皆様に強くお勧めするものではありませんので、
ご参考程度にとどめていただき、
最終的な判断は各自でお決めいただければと存じます。
吉岡医院 吉岡幹博