2023年7月17日
今日は祇園祭山鉾巡行です。
晴天をこえて京都ならではの酷暑の中、
皆さん汗だくになりながら引いておられました。
コロナは第9波にかかっていますが、
この様に祇園祭が通常どおり開催されるのは、
京都の夏の風物詩として感慨深いものがあります。
それにしても異常な暑さです。
皆様も外出の際には、
熱中症対策をなさって下さい。
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今回は腸と自律神経の関係について
少しお話させていただきます。
皆様もご存知だと思いますが、
胃腸の動きは自律神経(交感神経、副交感神経)の
コントロールを受けて調節されています。
よく緊張したり、
大事な仕事で出かけたりす際に限って、
お腹が痛くなる方がおられます。
これは「過敏性腸症候群」という病気で、
自律神経を介し、ストレスなどで
便秘や下痢を起こすというものです。
この例では、脳から自律神経を介して、
腸にストレスなどの情報が伝わることで
過敏性腸症候群が引き起こされるのですが、
最近ではその逆の方向、
腸で起こった出来事から自律神経を介し、
脳に情報が伝わることが分かってきました。
腸の働きが悪くなることで、
自律神経が乱れるのです。
また腸内細菌のバランスが良くないと、
脳に悪影響が出ることも分かってきました。
メンタルの原因が脳と自律神経だけでなく、
腸の働きにが原因となることがあるということです。
そういう意味で「腸は第2の脳」とも呼ばれて言います。
「腸脳相関」(Gut-Brain Axis)という言葉があります。
これは腸と脳の間の相互作用を指す言葉で、
この概念は、腸と脳が密接に関連しており、
相互に影響し合うことを示しています。
これには以下の4つの要素があるとされています。
1.腸内細菌
腸内には数兆もの微生物が存在し、
これらは腸内細菌として知られています。
腸内細菌は、食物の消化吸収や免疫機能の調節など、
さまざまな生理的機能に影響を与えます。
また、腸内細菌は脳とも相互作用し、
脳の機能に影響を与えることが示されています。
2.腸-脳軸
腸と脳は神経系を介して相互につながっています。
腸から脳への情報伝達は、腸-脳軸を通じて行われます。
この軸は、腸管神経系、副交感神経、
脳-腸軸(脳からの情報伝達)、免疫系など、
さまざまな経路とメカニズムによって構成されています。
3.セロトニン
セロトニンは、
幸福感や情緒の調節に関与する神経伝達物質です。
腸内細菌はセロトニンの一部を産生し、
腸管神経系を介して脳に影響を与えます。
腸内細菌のバランスが崩れると、
セロトニンの産生や腸-脳軸の機能が
影響を受ける可能性があります。
4.炎症反応
腸内細菌のバランスの乱れや環境因子によって、
腸内で炎症反応が引き起こされることがあります。
この炎症反応は、腸-脳軸を介して脳に信号を送り、
神経炎症や神経変性疾患のリスクを
増加させる可能性があります。
研究では、腸脳相関がうつ病、不安症、
自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、
アルツハイマー病などの神経精神疾患と
関連していることが示唆されています。
また、
腸内細菌のバランスを改善することや、
健康な食事習慣を維持することが、
腸脳相関の調節に役立つ可能性があるとされています。
さらに腸脳相関とは直接関係していませんが、
研究では体全体の免疫細胞の約7割が、
腸に集中していることが明らかになりました。
腸壁の内側にある細胞は、
腸の中だけでなく体の隅々まで働きかけ、
有害な物質から体を守っています。
以上より、
ストレスや疲労を避け腸の調子を整えること、
食生活を改善し腸内環境を整えることは、
体調だけでなく脳にもいい影響を及ぼします。
腸は消化吸収や排せつを担っているだけでなく、
この様な極めて重要な働きがあるとこ、
皆様も知っておいてくださいね。
吉岡医院 吉岡幹博