2023年5月17日
急に蒸し暑くなってきました。
今日は真夏日となるところが全国各地であるようです。
まだ5月中旬ですので、
今年も長く暑い夏になるのでしょうか。
寒暖差が激しいと自律神経が乱れます。
そろそろ熱中症にも注意が必要な時期で、
外来には何となく体調の悪い方も増えてきました。
皆様もご無理されませんようお願いいたします。
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さて今回は、
デジタルカメラのお話を少しだけ。
最近デジタルカメラを
皆さんは使われていますか?
スマホのカメラが格段に進化した今日では、
デジタルカメラの登場機会も減っていると思います。
一眼レフの高性能なデジカメは必要でしょうが、
コンパクトデジタルカメラ、いわゆるコンデジは
今や絶滅危惧種です。
家電量販店に行っても
以前はたくさん置いてあったはずのコンデジが、
コーナーも小さくなり展示もまばらです。
優秀な日本製のコンデジはすっかり減ってしまい、
安価な無名の中国製に置き換わっています。
売れないので開発も止まっているのでしょう。
そんなかわいそうなコンデジですが、
私は仕事で毎日のように使っています。
そこには手放すことができない理由があります。
勤務医を辞め当院に勤めるようになった12年前、
私は肛門科の勉強をするため
大阪のクリニックに見学に行っていました。
そのクリニックでは手術の写真を撮るのに、
ポラロイドカメラに自作の器具を取り付けて、
肛門手術専用のカメラを使っておられました。
肛門鏡という狭い筒の奥にある被写体に焦点を合わせ、
適当な明るさで撮影をするのは中々難しいものです。
それなので、
誰がとっても一定の距離でうまく撮れるように、
カメラの前に距離をとるための金具がつけてありました。
そのカメラはとても古く、
もう新しいものは入手できないと、
先生は修理を重ねながら大切に使っておられました。
私も肛門科をやるうえでは、
きれいな手術の写真を残さなてはなりません。
開業したところで十分な資金もありませんので、
私は安くて近接撮影ができるデジカメを探しました。
そして購入したのがこのカメラです。
1㎝までのマクロ撮影ができるものです。
仕事で使うにもかかわらず、7800円です(笑)
正直なところ使い物になるのかと不安に思いましたが、
どことなくトイカメラ風の見た目に惹かれたのもあります。
実際使ってみると小さいので片手で扱えます。
人手が少なく処置中も自分で撮影しなければならなかったので、
片手で扱えるということはとても重要でした。
グリップの部分がラバーになっていて、
薄さを追求していないモデルであることも手伝って
厚みも適度にありとても手になじみました。
簡単に片手で扱え、手になじむ。
これはいくらスマホのカメラの性能が上がっても、
この様な使用にはやはり向かないと思います。
それとこんなにまで安価であるにもかかわらず、
肛門鏡の奥の小さい被写体に見事にピントを合わせ、
ボタン一つのシンプルな設定でとてもきれいな画像が撮れたのです。
大阪のクリニックの先生に画像を見せた時にも、
「先生はきれいに撮るね~」と感心されました。
こんなカメラで撮っているとは思われてなかったと思います。
それから毎日診療に、
このカメラが登場しない日はありませんでした。
診察後には電子カルテに接続し画像を取り込みました。
その様な毎日を繰り返しながら、
あっという間に10年の月日が経ちました。
気が付くと電池ボックスのふたは壊れ、
持ち手のラバーグリップは液状化し
ねばねばするようになってきました。
相変わらずきれいな撮影はできるのですが、
いつ壊れてもおかしくない状態になってきました。
そしてこれからのことも考え買い替えることにしました。
まずは同機種の後継機を探しました。
しかしこの機種の後継機は一つ出ただけで、
約10年前に生産は終了していました。
となれば現在あるデジカメから選ぶことになります。
同じくマクロ撮影が美しいとされる、
オリンパス製のデジタルカメラを購入しました。
とはいえオリンパスも、
デジカメ部門からすでに撤退をしています。
今回購入したのは市場に売れ残っている新品です。
いい写真が撮れることを期待して、
5万円以上もしましたが購入を決めました。
買ってみると高価なだけあって、
機能も多彩で細かいところまで設定することできました。
近接もとてもきれいに撮影できました。
しかし実際現場で使ってみると、
ピントがずれやすかったり光の加減が難しく、
被写体が白く反射したような映りになったりしました。
これまで何も考えずに撮れていた写真に、
とても気配りが必要となりました。
そうなると写真のことに頭がいってしまい、
肝心の診療に影響が出るようになりました。
高額なカメラを買ったのだから、
きっと設定次第でよくなると思うのですが、
コンスタントに満足のいく写真は撮れませんでした。
おそらく使いこなせてないのだとは思いますが、
以前のものがとても簡単だったので、
使いにくさがぬぐえませんでした。
仕方がないので新しいカメラを諦め、
これまで使用していたのと同じカメラを探すことにしました。
すぐに見つかったのですが新品はもうありませんでした。
その中でも状態の良いもを選び、
改めて購入しました。
価格は中古品ながら17800円、
10年前の新品購入時の7800円を丁度1万円も上回る、
驚きのプライスでした。
中古になってもなお高くで売れるとは、
希少価値とはすごいものです。
京都の分譲マンションみたいですね。
私にとっては唯一無二の存在なので、
多少値段が高くても入手することができ、
本当に良かったです。
もちろん新品同様の状態でしたので、
グリップも劣化は全くなくいい使い心地です。
また取扱説明書がはいっていましたので、
今までできないと思っていたことができることが分かり、
以前より使いやすくなりました。
これから10年はこのカメラと一緒です!
日々の診療がまた楽しくなりました。
右側がこれまで使っていたものです。
操作部の表示も少し剥げています。
10年間活躍してきた証です。
このカメラの使いやすさを再認識し、
実はもう一台状態の良い中古を購入してしまいました。
ネットで見ていただけなのに
何故かマウスを持つ右手の人差し指に力が入り、
気が付くと購入ボタンをクリックしていました。
これで単純計算であと20年行けます。
では20年後どうするか・・・、
その頃にはカメラそのものが無くなるような、
新しい技術が開発されているかもしれませんね。
吉岡医院 吉岡幹博