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医療法人博侑会 吉岡医院 京都市上京区
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50歳以上は要注意、帯状疱疹について

2021年11月7日

11月になり
秋晴れの穏やかな日が続いています。

鴨川の紅葉も少しづつ進んでおり、
これから京都は美しい季節を迎えます。

しばらくコロナがおちつているので、
今年は観光客が多く来るのではないでしょうか。
今後の感染状況が気になりますね。

 

 

さて、今回は
帯状疱疹についてのお話です。
皆さんは帯状疱疹をご存知ですか?

帯状疱疹はウイルスによる病気で、
皮膚に水泡を伴う赤い発疹が帯状に出現し、
通常その部位に痛みを伴います。

帯状疱疹は多くは子供の時に感染する
水ぼうそうのウイルスが原因で起こります。
水ぼうそうが治った後も、
ウイルスは体内の神経節に残ります。

そのため日本人成人の90%以上は
原因となるウイルスが
体内に潜伏しているとのことです。

そのウイルスは通常の免疫状態では
おとなしく潜伏し無症状で経過しますが、
高齢で免疫力が低下したり、疲労やストレスがかかると、
ウイルスが再活性化され発症します。

多くははじめに皮膚に神経痛のような痛みが起こります。
痛みは、皮膚の違和感やかゆみ、しびれとして感じる程度から、
ピリピリ、ズキズキ、チクチク、針で刺されたような痛みや、
焼けるような痛みまで様々です。

その後、水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に現れ、
徐々に痛みが強くなり、
眠れないほど痛むこともあります。

強い痛みや皮膚の症状は3~4週間ほど続きます。
症状の多くは胸や背中、腕など上半身に現れ、
起こる範囲は神経の走行に沿って片側になります。

 

これだけでもかかると厄介な病気ですが、
問題は後遺症です。

皮膚の症状が治った後も痛みが残ることがあり、
3か月以上痛みが続くものを
帯状疱疹後神経痛と呼んでいます。

「刺すような痛み」や「焼けるような痛み」が
数年にわたり痛みが改善しないこともあります。

この帯状疱疹後神経痛は合併症の中で最も多く、
50歳以上で帯状疱疹を発症した人のうち、
約5人に1人がなると言われています。

この帯状疱疹後神経痛は時にとても厄介で、
毎日針を刺すような強い痛みに悩まされ、
日常の活動が著しく制限されることがあります。

私が往診している患者様にも、
体も他は全く問題なく健康であるにもかかわらず、
胸部の神経痛で行動に制限ができてしまい、
高齢者住宅で介護を受けられている方もおられます。

 

この様に帯状疱疹後神経痛は、
痛みで食事ができない、外出もままならないなど、
その後の人生が変わってしまう方もおられます。

ペインクリニックをご紹介することもありますが、
既存の治療薬では思うような効果が出ずに、
治療に苦慮するケースも少なくありません。

 

痛み以外の後遺症もあります。

顔面、目や耳に帯状疱疹が現れた場合、
視力低下や失明、難聴、顔面神経麻痺など、
重い後遺症が残る危険性があります。

帯状疱疹で一番問題となるのは、
この様な後遺症が起こることがあることです。
一旦起きてしまうとなかなかよくなりません。

 

帯状疱疹は50歳代から発症率が高くなり、
80歳までの約3人に1人がかかります。
決してまれな疾患ではなありません。

治療は通常抗ウイルス薬の飲み薬を使用し、
症状が重い場合には点滴で治療することもあり、
その時には入院して行うこともあります。

 

また帯状疱疹は帯状疱疹後神経痛になると、
後々まで長く悩まされる疾患であり、
高齢になると予防がとても大切です。

予防にはワクチンを使用しますが、
このワクチンには最近新たな展開もあり、
また次回させていただこうと思います。

 

今回は帯状疱疹についてご説明しました。

ポイントは

①日本人成人の90%以上は、
帯状疱疹の原因となるウイルスが
体内に潜伏している。

② 加齢による免疫力の低下が原因で、
50歳以降に発症率がが高くなり、
80歳までに約3人に1人が発症する。

③50歳以上で発症した人のうち、
約2割が帯状疱疹後神経痛になると言われている

④治療には抗ウイルス薬があるが、
後遺症をきたさないためにも、
かからないようにすることが大切。

 

50歳以上の方ではワクチンによる
予防接種を受けられます。
次回のブログでご説明します。

 

吉岡医院  吉岡幹博