京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院 京都市上京区
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この冬インフルエンザの検査方法が少し変わります

2020年11月7日

11月に入りました。
いよいよ今年もあと2か月です。
当院も何かとあわただしくなってきました。

インフルエンザの予防接種が始まり、
希望者が最も多い11月は、
外来も時には混雑いたします。

火曜日・金曜日5時からの
インフルエンザ予防接種専用の時間もありますが、
その枠もかなり埋まってきています。

皆様にはわざわざ予約をしていただいたのに、
お待たせすることもありご迷惑をおかけしおります。

ホームページの待ち人数や当日順番どりをご利用いただき、
でできるだけ待ち時間の少ない時間にお越しください。

 

 

さて今回はインフルエンザの検査についてです。

この冬医療機関が一番恐れているのが、
インフルエンザとコロナの同時流行です。

ご存知のように、
コロナウイルス感染の症状は多彩で、
普通の風邪なのか、インフルなのか、コロナか、
見分けることは困難とされています。

例年であれば風邪かインフルか
区別するだけで良かったので、
気軽にインフルエンザの検査を行っていました。

しかし今年はコロナの可能性があります。
今まで通り鼻の奥に綿棒を入れて、
検体を採取するのは極めて危険です。

皆さんもよくテレビで見られていると思いますが、
コロナウイルスの検査をするときには、
フル装備の防護服を着て慎重に行っています。

それは鼻の奥に綿棒を入れて採取すると、
くしゃみを誘発するからです。
いわゆる飛沫感染のリスクがあるのです。

そのような状況の中今年の冬から、
インフルエンザの検査で、
より安全な方法での検体採取ができるようになりました。

従来のインフルエンザの検査で実施される
鼻腔からかなり奥に入れて採取する検体を、
「鼻咽頭ぬぐい液」といいます。

それに対し鼻腔に沿って約2㎝程挿入し、
それほど奥に突っ込まずに採取する検体を、
「鼻腔ぬぐい液」といいます。

今シーズンからはその「鼻腔ぬぐい液」で、
インフルエンザの検査ができるようになりました。

「鼻腔ぬぐい液」は「鼻咽頭ぬぐい液」の採取に比べ、
患者さんの負担が少なくくしゃみも起きにくいため、
より安全に実施できる方法だそうです。

これくらいなら医療者が行わず、
医療者の監視下で患者さん自身が
行うことも可能とされています。

今まではNGとされてきた鼻腔ぬぐい液が、
今回からはキットによってはOKとなっています。
不思議なことです…。

またもう一つ新たな採取法があります。

それは「鼻汁鼻かみ液」というものです。
鼻をかんだ時の紙についた鼻汁を綿棒で採取し、
検体として検査する方法です。

これのいいところは、
患者さんがご自身で採取可能なところです。

つまり医療者が採取しなくていいので、
ガレージや車の中など離れたところで採取し、
それを持ってきてもらえばいいのです。

それにより飛沫などの感染のリスクは
ほぼゼロにすることができます。
これは比較的有用な方法だと考えられます。

ただ発熱患者さんでも鼻水が出ていない人、
鼻がかめない小さなお子さんでは、
きちんと検体採取ができないという欠点もあります。

このように今シーズンからは、
従来の鼻咽頭ぬぐい液の採取より、
より安全な方法が認められるようになりました。

これもコロナ時代に、
いかに一般の医療機関でも安全に検査を行うか、
何となく妥協点を見出したのではないかと考えています。

行政が11月より「渡航者・接触者センター」を廃止し、
それ自身は「受診・相談センター」と名前をかえ、
それまでの窓口を一般のクリニックへと変更しました。

「渡航者・接触者センター」は、いつかけてもつながらない、
またつながったとしても検査をしてくれない、
機能不全ぎりぎりの窓口であったことはご承知の通りです。

それを急に廃止し民間の医療機関に業務移管したのです。

医療機関は当然たくさんの方からの電話がかかってきます。
当院も10月よりインフルエンザの予約と発熱の患者さんで、
電話は常になりっぱなしです。

医療機関によっては、
自院で発熱患者さんを対応できないところもあります。
その場合はどこか医療機関を紹介しなければなません。

ただでさえインフルエンザの予防接種や風邪の患者さんで、
多忙極まりないところに、
そのような電話対応をしなくてなりません。

当院も土曜日などは通常の事務員の人数を増員して
何とか対応している状況です。

今回のインフルエンザの検査方法の突然の変更、
どうも一般の医療機関でも安全に、
検査ができるように無理やり変更した気がします。

さらに「鼻腔ぬぐい液」を採取するときでも、
安全といいながらも患者さんには、
マスクの端をおさえてもらうよう指導されています。

つまりある一定の割合でくしゃみなどの飛沫が、
起こる可能性を想定していることになります。

鼻咽頭ぬぐい液でも鼻腔ぬぐい液でも、
起こることは同じで爆発的な飛沫です。
本当に安全といえるのでしょうか?

行政のやっていることは、
ますます信用できなくなります。

そんなこんなで、
今年の冬は医療従事者にとっても
命がけのシーズンとなりそうです。

検査一つにしても、
個人防護服を着ての作業となりますので、
時間も労力もコストもかかります。

発熱患者さんを受け入れ、
コロナの患者さんを治療している総合病院を、
もっと金銭面で支えてあげるべきなのです。

風評被害にさらされながら、
現場でコロナと戦っている医療従事者に、
もっと公的な援助を差し伸べるべきなのです。

医療機関によっては今でも、
独自に4人以上の会食を禁止していたり、
家族以外の外食を禁止したりしていて、
身内から感染がおこらない様
細心の注意を払っているところもあります。

その様な医療従事者の皆さんは、
仕事で大きなストレスを抱えながら、
プライベートでも何かしら犠牲を払っているのです。

当院も規模は小さいですが、
感染対策の設備投資を続けています。

職員も増え続ける業務に耐えながら、
本当に一生懸命診療にあたってくれています。

何とかその頑張りに応えられるよう、
当院も安全で持続性のある診療を
構築していかねばなりません。

当院ではこの冬発熱患者さんに対しては、
インフルエンザの検査には「鼻かみ液」を、
コロナウイルスの検査には「唾液」を検体として、
検査を行う方向で考えています、

それにより、医療従事者の感染、
院内の感染のリスクをかなり減少することが
できると考えております。

みなさまには一人一人の診療に時間がかかり、
待ち時間が多くなってしまうかもしれません。

いろいろご迷惑をおかけするとは思いますが、
何卒よろしくお願いいたします。

 

 

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