2020年2月17日
昨日は久しぶりの雨の中、
京都マラソンが行われていました。
私もかつては4年連続で、
この京都マラソンを走りましたが、
2016年を最後に走らなくなりました。
持病の膝の状態が悪化したからです。
しかし雨の中苦しいながらもいきいきと
頑張って走っておられるランナーを見ていると、
マラソンどころか走ることすら辞めてしまった
今の自分を少々情けなく思います。
以前に比べると体重も増え、
下半身の筋肉も
ずいぶん衰えてしまいました。
このままでは高齢になったときに、
足腰が弱って動けなくなると思います。
また機会があれば、
10㎞の軽いランニングからでも再開し、
体を動かしたいと思います。
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さて今回は皆さんもご心配の
「新型コロナウイルス感染症」について、
少しご報告いたします。
これからどうなっていくのでしょうか。
2月17日現在で、
国内感染者数は43名となっています。
クルーズ船はカウントされていません。
しかし和歌山の症例も含め、
感染経路がたどれないケースが、
少し出てきたように思います。
2月11日の祝日に、
京都府医師会から、
コロナウイルス感染症の説明会が
開催されました。
祝日とはいえ京都府下の医療機関から、
大勢の関係者が会場を訪れ、
数百人収容の講演会場は、
あっという間に満席になっていました。
臨時で別の会場が用意され、
同時中継されていました。
それによりますと、
本ウイルスの感染力に関してですが、
基本再生産数は2.2程度と
推測されているそうです。
基本再生数:R 0とは、
1 人の患者から何人に感染が広がるかというもので、
理論上はR 0<1なら減少、R 0>1なら増加する
というものです。
季節型インフルエンザくらいの感染力ですが、
以前のSIRS(3)と同等、MERS(1未満)よりは
感染力に関しては高いと考えれています。
潜伏期間に関しては、
95%は12.5日以内と報告されています。
従って感染者と接触した可能性のある方が、
約2週間の経過観察期間を必要としているのも、
この数値の関係です。
和歌山の医師の感染例もあることより、
もしこの医師会の説明会の会場に、
感染者がいたらどうなることだろうと
不安になったりします。
つまり医師本人といえど、
発症するまでは気づいていないからです。
われわれ医療従事者は、
他の一般の方より明らかに、
感染者と接触する確率は高いと思います。
もちろん、観光バス運転手、タクシードライバー、
ホテルの従業員、お土産物屋さんなど、
感染者とダイレクトに接する方もおられます。
私たちは直接海外の方と接することは少ないですが、
毎日のように風邪症状のある
発熱者と顔を合わせるからです。
一人一人との接触時間は短く、
濃厚感染ということは少ないですが、
とにかく数を診るということです。
医師の感染の確率は、
比較的高いと言わざるを得ません。
もしこの医師会の説明会に感染者がいたとすれば、
2時間寿司詰めの状態で周りの医師に感染したら、
その医師は2週間気づかずに診療にあたることになります。
知らないうちに我々が、
スプレッダーになっていても
おかしくありません。
説明会会場ではマスクが配られていましたが、
やはりこのような説明会にも、
もう少し細心の注意が必要であったのではと
今となっては少し心配しております。
最近は関東でのタクシー運転手関連で、
感染者が見つかっておりますが、
京都では最初の2例を除いて、
今のところ報告はありません。
説明会ではその2例についても
入院した病院の感染症専門医の先生から
経過の報告がされていました。
それによりますと2例とも重症化せず、
入院はしたものの体調は良かったために、
点滴などの治療も行わずに回復したとのことです。
軽症例も多いということです。
現在の厚労省が医療機関向けに
発表している感染疑い症例は、
以下のような方になっております。
(厚労省2月13日付)
ア 発熱または呼吸器症状(軽症の場合を含む。)を呈する者であって、
新型コロナウイルス感染症であることが確定したものと濃厚接触歴があるもの
イ 37.5°C以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、
発症前14日以内にWHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域
(新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域は湖北省および浙江省をいう)に
渡航又は居住していたもの
ウ 37.5°C以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、
発症前14日以内にWHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域
(新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域は湖北省および浙江省をいう)に
渡航又は居住していたものと濃厚接触歴があるもの
エ 発熱、呼吸器症状その他感染症を疑わせるような症状のうち、
医師が一般に認められている医学的知見に基づき、
集中治療その他これに準ずるものが必要であり、かつ、
直ちに特定の感染症と診断することができないと判断し
(法第14条第1項に規定する厚生労働省令で定める疑似症に相当)、
新型コロナウイルス感染症の鑑別を要したもの
皆様、どう思われますか?
つまり、ア~ウは発熱などの症状があり、
感染者に接触があるかた(これは誰でも疑いますよね)、
それと流行地に住んでいる方、または行った方、
あるいはそのような方と接触のある方です。
この3つに関しては
ある程度具体的な要件ですので、
疑いに該当するか判断できますね。
しかしエ、を見たとたんに、
突然不安に襲われました。
エ、に関しては、感染者や流行地との関連が、
全く示されておりません。
つまりある程度重症の患者様を診た時には、
すべて疑い症例になるといいうのです。
特定の感染症とは、
インフルエンザは当たり前ですが、
肺炎球菌感染、マイコプラズマ肺炎など、
迅速検査で診断がつくもを想定してるようです。
しかし病院はともかく一般の診療所では、
簡単にすぐに検査できるとは限りません。
そうなると対象患者は一気に増えます。
これまでの渡航者云々とは
違う次元での話ということになります。
これは非常にあいまいな基準であり、
医師の裁量によるところが大きいかもしれません。
これは今後悩む症例も出てきそうです。
また現実問題として、
湖北省、浙江省と流行地を指定していますが、
先日のハワイから帰国者が感染していた件を考えると、
もはや流行地という概念は、
通用しないのではないかと考えられます。
空港を利用し、
特に船や飛行機で長時間多くの外国の方と、
密閉状態にあったかたは、
もはやハイリスクなのではないかと思います。
先日も入職時の健康診断に来ていた学生さんが、
明日からヨーロッパに卒業旅行に行きます、
とおっしゃっていましたが、
個人的にはこのご時世に大丈夫かなと思います。
因みに説明会ではある病院の先生が質問され、
微熱で来られた患者様が中国の方と接触があったので
念のために保健所に連絡したところ、
軽症の方は検査対象外ですと断られたそうです。
今はそのようなことは無いと思いますが、
まだ感染が広がっていないときには、
その様な対応だったそうです。
検査をもっと多くの方に確実に行えば、
きっともっと多くの不顕性感染者が
検出されるのではないかと思っています。
ちょうどインフルエンザの方でも、
病院に行かない方は風邪で済まされているのと
同じようにです。
より詳しく検査をしてより実態が判明すれば、
おのずと対策お変わってくるのではないと思います。
特に医療機関にとっては、
この時期多くの発熱者が来ますので、
そのあたりの対応をより迅速にとっていただき、
情報をフィードバックしていただけると助かります。
本日、厚労省が会見で、
新たな「病院を受診する前の相談目安」
を示しました。
それによると、
① 37.5度以上の発熱が4日以上続く場合、
または強いだるさや息苦しさがある場合
② 高齢者や持病がある人、妊婦には、
発熱などが2日程度続いた場合
と発表されています。
補足として、
発熱などの風邪症状が出た場合は、
相談や受診をする前に、
学校や仕事を休み外出を控えた上で、
体温を毎日測って記録しておくこと。
重症化しやすいのは高齢者のほか、
糖尿病、心不全、呼吸器疾患などの持病のある人、
透析、免疫抑制剤や抗がん剤を用いている人、
それと妊婦さんということだそうです。
4日以上続く発熱は、
通常の風邪では長い方なので、
振り分けに役立つかもしれません。
しかし、重症になる可能性のる方は、
発熱が2日続くと相談の対象になるのです。
これは随分と対象者が多くなると思います。
これから殺到する検査対象者を
国や保健所はどの様に検査し判定するのか、
かなりの混乱が予想されます。
果たして希望される方全員に、
迅速に受けていただけるのでしょうか。
またそれにより陽性者が多数出た場合、
どこの医療機関が対応するのか、
またその医療機関に対応できる機能があるのか、
不安は尽きませんね。
森友、加計学園、桜を見る会と、
日本のトップが堂々と嘘をつき情報を隠蔽する昨今ですので、
この新型コロナウイルス感染症に関しても、
本当は重大な事象を隠していないか気になるところです。
今後のオリンピックも見据えて、
日本という国が正しく情報を発信し、
世界中の英知を集めてでも
適切な対応が取れる国であってほしいと願っております。
吉岡医院 吉岡幹博