京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院 京都市上京区
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JDDW2019に参加しました

2019年11月27日

11月もあっという間に終わりですね。
今年も残すところあと1か月、
月日が経つのは本当に早いですね。

 

先週~今週にかけて、
インフルエンザの患者様が、
3名当院で診断されました。

 

いずれもA型です。

 

予防接種真っただ中ですが、
いよいよシーズンが始まったようです。

 

当院のインフルエンザワクチンも
残りが少なくなって参りまいました。
ご希望の方はお早めにご連絡ください。

 

 

 

 

さて、
今回は学会に参加したお話です。

 

毎年秋に開催されるJDDWという学会で、
正式にはJapan Digestive Disease Week、
日本消化器関連学会週間という名称です。

 

国内で最多の医師が参加する内科系学会で、
今年は11月21日~24日に
昨年と同じ神戸で行われました。

 

たいていの学会は3日間が多く、
木曜日~土曜日に行われるので、
開業医はなかなか参加できません。

 

JDDWは日曜日にかかりますので、
毎年必ず最終日の1日は参加し、
新しい情報を得るようにしています。

 

今年は3日目の土曜日が祝日であり、
3日目より参加することができました。
本当は全部参加したいのですが、
2日間でも大変うれしいことです。

 

 

そして今回皆様にご紹介するのは、
経鼻内視鏡のことです。

 

 

この学会前より、
オリンパスが高画質の経鼻内視鏡を開発して、
この学会で展示すると聞いておりました。

 

経鼻で高画質、
ハイビジョン搭載の細径内視鏡ということになります。
まさに究極のスコープですね。

 

 

その昔、

 

オリンパスが通常の太さの経口内視鏡で、
ハイビジョン画質のものを出したのは、
私がまだ外科医をやっていたころのことです。

 

多分15年ほど前ではないかと思います。
内視鏡の太さは10㎜近くあったと思います。

 

 

その頃経鼻内視鏡は、
開発されていましたがまだ画質も悪く、
余り普及していませんでした。

 

多くの内視鏡医も、
経口内視鏡との差が激しく、
決して好んでは使っていませんでした。

 

経鼻内視鏡は太さが5.5㎜程度になります。
鼻を通すのでこれより少しでも太くなることは、
経鼻内視鏡として使うことはできません。

 

7年前に出た現在の最新機種である
オリンパスの経鼻内視鏡にも、
期待されたハイビジョンは搭載されませんでした。

 

この10㎜から5㎜へのハードルが、
相当高かったものと思われます。

 

そういう意味で、
まさに待望の内視鏡という感じでしょうか。

 

 

何が凄いかといいますと、

 

これで画質、明るさ、視野が良ければ、
もう口からの太い内視鏡は、
通常の胃カメラ検査では必要なくなります。

 

鼻からも口からも、
同じ細径のカメラで検査できることになります。

 

今までのように細くて楽な経鼻内視鏡にするか、
多少しんどくても高画質な経口内視鏡をするか、
迷うことが無くなります。

 

経口でも経鼻でもどちらの検査でも
同じ細径内視鏡を高画質で検査可能となります。

 

私としても期待しておりました。

 

当日会場で実際に見てきました。

 

太さは5.5mm で、
従来の経鼻内視鏡と同じでした。

 

現在の最新機種のものと
並べて比較されていましたが、
画質は明らかに良くなっていると感じました。

 

これならハイビジョン経口内視鏡と、
遜色ないのではと感じます。
いよいよ通常の胃カメラ検査は、
これに代わるのではないかと感じました。

 

 

では従来からある
太い内視鏡がなくなるかといえば、
その様なことはありません。

 

従来の内視鏡は、
ポリープやがんを切除したりする、
治療内視鏡では必要となります。

 

違いは鉗子孔の太さの違いにあります。
経鼻内視鏡は細くするために
鉗子孔の太さも細くなっています。

 

そのため組織を採る生検鉗子は、
経鼻用に特別細いものがありますが、
治療のための電気メスのような器具は、
太いので経鼻内視鏡では使えません。

 

従って治療の際には
必ず従来の内視鏡が必要になります。

 

また通常の倍率より拡大して観察できる、
拡大ハイビジョン内視鏡は、
やはり現在は通常の太さものしかありません。

 

 

ただ普段の胃カメラの検査で
いきなり拡大内視鏡を使うことはありませんので、
最初はこの細いハイビジョンが選択されると思います。

 

このようにハイビジョン経鼻内視鏡は、
通常の胃カメラ検査を
変えてしまうと思います。

 

従来の口からの太い内視鏡は、
将来的には通常行う胃カメラ検査からは
姿を消していくものと思われます。

 

時代と共に移り変わる、
テクノロジーの進歩ですね。
日本の技術力は本当にすごいと思います。

 

 

ただ残念なことに、今回の内視鏡は、
製品は完成しているのですが、
まだ薬事申請がおりていないとのことです。

 

そのためか展示ブースも、
カーテンに仕切られた小部屋に入り、
目立たないように説明を受けるといった格好でした。

 

メーカーとしては今年のJDDWで、
華々しく新作発表を行うつもりだったのが、
何かの手違いで間に合わなくなった、
そんな印象を受けました。

 

 

医療と医療機器は日進月歩。
それを最先端でとらえるのは、
なかなか大変です。

 

ただいつまでも変わらないでいることは、
時代が進んでいる以上、
相対的に後退していることになると思います。

 

当院もなるべく時代の流れに即した、
適切な医療を提供できるよう、
日々努力が必要と感じた次第です。

 

 

 

吉岡医院   吉岡幹博