2019年10月27日
爽やかな秋空が広がる
過ごしやす季節になりました。
読書などにふけるのもいいですね。
その反面、関東や東北エリアでは、
台風とその後の大雨により、
大変な被害が出ています。
京都も桂川、鴨川と、
普段は穏やかですが
街中を河川が通っています。
大きな被害は出ていませんが、
桂川は嵐山付近でしばしば氾濫し、
鴨川も昨年の豪雨では、
三条あたりの護岸が崩れました。
京都も他人ごとではないですね。
今回の災害でも、
いざ非難というときには道路が水没したりで、
逃げ道がなくなってしまう方もおられました。
普段から万が一に備え、
地域の避難場所、ハザードマップを
確認されておくといいですね。
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お時間のある時にでも、
こちらで確認なさってください。
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さて話は変わりますが、
皆様は、
「医師の偏在問題」を
ご存知でしょうか?
病院や診療所に所属する医師は、
全国津々浦々にいますが、
大都市と地方では
人口当たりの医師数に違いがあります。
東京などの大都会では、
医学部のある大学や大病院が多く、
医師多数区域となっています。
また東北地方を中心に、
医師の少ない都道府県や市町村も存在し、
医師少数区域といわれております。
国は将来の医療需給が平等になされるよう、
医師法、医療法を改正し、
医療従事者に関する検討会、
「医師需給分科会」を開き
「医師偏在対策」に乗り出しています。
まずはどの地域で医師がどれくらいいるのか、
医師偏在指標なるものを作成しました。
これによりますと、
全国で医師多数区域の1位は東京都、
2位はなんと京都府でした。
実際の順位は以下の通りです、
順位 都道府県 医師偏在指標
全国 238.3
多数区域
1位 東京都 329.0
2位 京都府 314.9
3位 福岡県 300.5
4位 沖縄県 279.3
5位 岡山県 278.8
6位 大阪府 274.4
7位 石川県 270.4
8位 徳島県 265.9
9位 長崎県 259.4
10位 和歌山県 257.2
11位 鳥取県 255.0
12位 高知県 254.3
13位 佐賀県 251.3
14位 熊本県 248.5
15位 香川県 247.8
16位 滋賀県 243.5
17位 兵庫県 243.0
18位 奈良県 241.1
19位 広島県 240.4
20位 大分県 238.0
21位 島根県 235.9
22位 宮城県 232.7
23位 神奈川県 231.8
24位 愛媛県 231.0
25位 福井県 230.9
26位 鹿児島県 229.8
27位 愛知県 225.3
28位 北海道 222.0
29位 栃木県 216.7
30位 山梨県 216.4
31位 富山県 216.2
少数区域
32位 宮崎県 210.6
33位 山口県 210.3
34位 三重県 208.8
35位 群馬県 208.2
36位 岐阜県 204.7
37位 千葉県 200.5
38位 長野県 199.6
39位 静岡県 191.1
40位 山形県 189.4
41位 秋田県 180.6
42位 茨城県 179.3
43位 埼玉県 178.7
44位 福島県 177.4
45位 青森県 172.1
46位 新潟県 169.8
47位 岩手県 169.3
(2019年2月18日公表)
上位3分の1を医師多数区域、
下位3分の1を医師少数区域とよび、
医師少数区域は2036年を目標に、
必要な医師数を定め確保を目指すそうです。
京都は医学部を持つ大学が二つあり、
アカデミックな土地柄で病院も多いので、
医師の数は多いと思っていました。
しかし逆に京都市以外の地域、
特に北部の方には医師が足りていない
現状もありました。
それがすべてを含め京都府として、
医師偏在指標が東京都に次いで2位とは、
「本当かな」と正直思います。
ただ、
多いことには、
間違いないのでしょう。
こんなことを思い出しました。
私が開業する前で大阪に住んでいたころ、
開業支援のセミナーに行きました。
講師をしていたあるコンサルタントは、
人口当たりの医師数の資料を見せながら、
「皆さん、開業していけないのは京都です!
もし考えるなら秋田県とかお勧めです」
と言っていました。
やはり京都の医師が多いことは、
業界の常識だったのかもしれません。
また別の話ですが、
肛門科の学会で秋田県から来られた先生が、
このようにおっしゃっていました。
秋田県には肛門専門医が少なく、
また隣接する県にもあまりいない。
そのため患者さんは県をまたいで
何時間もかけてうちに診察に来る。
そのような患者さんが
痔の手術後にもし自宅で出血したら、
これは場合によっては大変なことになる。
いつも冷や冷やしていると。
やはりこのあたりの話を聞くと、
医療機関や医師の不足している地域では、
当たり前の治療も行き届かないことがあるようです。
京都市周辺では、
あまり考えられないと思います。
これは放っておけない問題かもしれません。
また医療需給分科会では
医師の偏在の対策とともに、
地域での診療科ごとの必要医師数に関しても
検討が進められているようです。
これは地域ごとに足りている診療科、
不足している診療科の医師数を割り出し、
足りている地域には診療科医師数の上限を
設けるというものです。
13診療科には以下の科が上がっています。
内科
小児科
皮膚科
精神科
整形外科
眼科
耳鼻科
泌尿器科
脳神経外科
放射線科
麻酔科
形成外科
リハビリテーション科
外科、産婦人科、病理診療科、
臨床検査科、救急科、総合診療科は、
もともと不足していますので、
制限をかける必要がなく入っていません。
これについても京都は、
対象となる13診療科のうち脳神経外科を除く
12診療科で医師の制限がかかるようになっています。
これは11診療科が挙げられた東京よりも多く、
なんと全国で1番多い数になっています。
私たちの暮らす京都は、
全国でも最も医療の手厚いエリアの一つに
なっているようです。
開業する側としては、
京都は激戦区でダメということですが、
住まれる側にとっては、
医療に関しては充実しているので、
いい土地柄ということになるのでしょう。
この議論はまだこれからも続けられ、
どのようにして医師の偏在をなくすか、
診療科の過不足を是正するか、
具体的なことはこれからのようです。
医療資源の適正な分配を考えると、
必要な施策であるとは思われます。
ただ、医師の診療科の選択や開業場所の選択に
制限が出るのもちょっとおかしな話かなと思って
どうなることか注目しております。
吉岡医院 吉岡幹博