京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院 京都市上京区
診療時間 午前9時~/夜診17時~
婦人科は夜診なし
休診日 木・日・祝/土(午後)
  • お問い合わせ

    075-451-0164

MR(麻疹風疹混合)ワクチン、またまた不足しています

2019年2月27日

気温の寒暖差が激しくなってきました。

 

早朝は真冬並みの気温で、
日中は日差しがあれば春の陽気、
どんな服装で出かけるのか迷いますね。

 

インフルエンザの患者さんは、
ずいぶん少なくなり、
今シーズンはこのまま終わるのでは?
と思ってしまう程です。

 

例年ですとこの時期は、A型に混じって
少しずつB型が出てくるころですが、
その気配は今のところ感じません。

 

昨年は最初からA型、B型が
一気に押し寄せたのに、
毎年いろいろ変化があるものです。

 

インフルエンザ以外の風邪の患者様は
まだまだ沢山お見えになりますので、
皆様ももうしばらくご用心ください。

 

 

 

 

さて、
前回もお伝えしましたように、
大阪を中心に麻疹ウイルスの感染が
拡がっています。

 

麻疹の感染力はインフルエンザの10倍以上、
抗体がなければそばにいるだけで感染し、
発症してしまいます。

 

ニュースでは今年に入り、
京都府でも9名の感染者が出た模様で、
全国で見ても5番くらいに多い都道府県と
なってしまいました。

 

麻疹はたった1人の患者さんの発生から、
気が付いた時には次々と感染が広がり、
また広い地域に拡大することもあります。

 

注意するにもインフルエンザと違い、
どのように注意するのかわかりませんし、
気づいた時にはかかってしまっていることもあります。

 

 

当院でも風邪で来られた患者様で、
しばらくしてから体や顔に皮疹が出た方がおられ、
20代の方でしたので慎重に対応しました。

 

受診の際には公共機関を避け、
他の患者様と待合で待たないように、
直接隔離の部屋にご案内しそこで診療しました。

 

結果、麻疹のような症状や発熱状態は乏しく、
風邪薬による薬疹が疑われました。
そして抗アレルギー剤で改善を見ました。

 

このように日常で遭遇する場合もありますが、
医院には直接麻疹の患者様が、
麻疹とわからずに受診することもあります。

 

受診時にはまず受付のものが対応しますので、
そこで麻疹が疑われて隔離しても、
職員は感染のリスクを負ってしまいます。

 

 

先日当院の職員に、
麻疹の抗体検査を行いました。

 

その結果は以下のようになりました。

 

20代(1名)               陰性1名
30代(3名) 陽性1名 陰性2名
40代(5名) 陽性3名 陰性2名
50代(1名) 陽性1名
60代(1名) 陽性1名

 

一般的には50歳代以上の世代は、
小さい頃に麻疹にかかっている方がいて、
抗体の保有率が高い世代と言われています。

 

従って上の結果は、
比較的現状に即したものかと思います。

 

 

 

麻疹の感染拡大のニュースが出てから、
当院にも連日抗体検査やワクチン接種を
希望される方が来られるようになりました。

 

麻疹抗体検査ではいくつか方法がありますが、
EIA法が精度が高く
よく用いられているようです。

 

2.0未満が陰性ですが、
実際は16.0以上で十分な免疫ありとされますので、
16未満の方はワクチン接種が推奨されています。

 

検査結果の用紙には
2.0以上あれば「陽性」と出ることもありますので、
間違えないようにしてください。

 

当院の職員にもこの基準で
MRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)を
接種しました。

 

 

先ほどから申しておりますように、
麻疹を予防するためには、
手洗い、マスク等は無効で、
ワクチンを打たなければならないとされています。

 

しかしこのMRワクチンが、
大幅な需要の高まりで、
不足する事態に陥っている模様です。

 

本当に昨日の話ですが、
これまでは順調に入荷できたMRワクチンが、
必要な本数が入らなくなりました。

 

当院は小児科の定期接種も
行っておりますので、
常に必要とする方がおられます。

 

そのためワクチン不足は、
患者様にも医院にとっても
大変困る事態となります。

 

 

そういえば2016年ごろ関西国際空港などで、
麻疹の流行がありました。
その時にもあっという間に、
ワクチンが不足したのです。

 

その時も医療機関には問い合わせが押し寄せ、
医師会などが声明を出し、
優先順位をつけて対応したのでした。

 

その時の対応です。
ワクチン接種に優先順位を定めています。

 

1、定期接種対象者(1期、2期)
2、麻疹患者の接触者で、ワクチン未接種者
3、中国、モンゴル、東南アジア等
麻疹流行国への渡航者でかつワクチン未接種者

 

ということですが、
優先順位をつけられても、
ワクチンが入手できなければ打てません。

 

ひとまずは、
ご自身に麻疹の抗体があるかどうか、
調べてみる必要があります。

 

もし抗体陽性であれば、
必要以上に心配することはないですし、

 

もしなければ、
麻疹の発生状況に注意しながら、
ワクチン接種を待つのが良いかと思います。

 

 

また機会があればお話ししますが、
まもなく公費での風疹予防接種が、
抗体保有率の低い年代の男性に拡大されます。

 

そうするとさらにMRワクチンの需要が高まり、
今回のような麻疹の流行と重なると、
ますますワクチンはひっ迫する事態となります。

 

国や行政はもっとワクチン対策を
しっかりすべきかと、
こういうことが起こるたびにいつも思います。

 

 

このように医療は常に安定供給
されているわけではありません。
皆様も時々情報収集されるといいかと思います。

 

こちらのブログでも、
皆様のお役に立てるような情報発信を、
なるべく心がけていきたいと思っております。

 

お暇な時に、
気軽に覗いていただけると
幸いです。