2019年1月17日
年明けから早くも半月が経過しました。
今年も残すところ11か月と半月です(笑)
月日が経つのは早いですね。
さて
ここのところ乾燥した寒い毎日が続いていて、
医院にも風邪の患者様が増えてまいりました。
またその中でも、
インフルエンザの患者様が、
こちらは急増しています。
その勢いたるやすごいものです。
当院では1月15日、16日両日合わせて
40名を超えるインフルエンザの患者様がでました。
これほどまで一気に出るのは珍しいです。
当院は感染症の定点観測医療機関ですので、
日々のインフルエンザの患者様の、
年代、性別、インフルエンザの型(AまたはB)を
記録し報告しております。
そのための記録用のホワイトボードも、
この通りびっしり埋まっています。
今のところ全員がインフルエンザA型です。
B型は遅れて出ますので、
こちらは例年通りです。
これほどの多くの方がインフルエンザにかかると、
その中には、当院あるいは他院で
前もってインフルエンザワクチンを受けた方もおられます。
このような方に
インフルエンザ検査が陽性だったと伝えると、
少し微妙な空気が流れます。
「私予防接種受けているんですけど、
かかることもあるんですよね・・・」
という感じになります。
私としてもせっかく打ってもらったのに、
インフルエンザにかかられてしまうのは、
本当に気の毒だなという気分になります。
皆様も予防接種が完全ではないことは、
何となくご理解いただいていると思いますが、
ではどの程度の予防効果なのでしょうか。
厚労省のホームページを開いてみました。
ワクチンの有効性とは、
ワクチンを接種しなかった人が
病気にかかる割合を基準として、
接種した人が病気にかかるリスクが、
「相対的に」どれだけ減少したか、
という指標であらわされるそうです。
6歳未満の小児を対象とした研究では、
インフルエンザワクチンの有効性は
60%と報告されています。
これはどういうことかといいますと、
ワクチンを接種せずにインフルエンザになった人が、
100人中30人いたとすると、
30人の60%で18人は、
ワクチンを接種していれば、
発病を防ぐことができたということです。
逆に言うと30人中12人は、
ワクチンを接種していても
かかってしまうということです。
つまりこの程度の予防効果なので、
接種していてもかかってしまう方がいるのは、
けっして稀ではないということになりますね。
ではワクチンの本当の意味は、
何でしょうか。
それは「重症化」を防ぐということのようです。
インフルエンザウイルスは、
口や鼻、目の粘膜から体の中に入ります。
それを「感染」といいます。
体内でウイルスが増えると、
発熱、のどの痛み、頭痛などの症状がでます。
それを「発病」といいます。
またその後に肺炎や脳症を起こして入院したり、
時には命を落としたりすることもあり、
それを「重症化」といいます。
インフルエンザワクチンには、
この「感染」「発病」に対する効果は、
他のワクチンに比べるとあまり高くありません。
しかし「重症化」に関しては、
それなりに高い効果があるようです。
特に重症化しやすい高齢者や、
糖尿病などの基礎疾患を持っている方に対する、
死亡を阻止する効果は高いとされています。
従ってインフルエンザワクチンは、
感染や発病を完全に防ぐものではなく、
どちらかというと重症化しないようにするものと
考えていいと思います。
そのためにワクチンがより必要な方は、
小さい子供や高齢者、基礎疾患のある方
ということになっているのだと思います。
とはいえ健康な方でも、
インフルエンザにかかると大変です。
高熱と非常に強い倦怠感に悩まされたのち、
学校や仕事を休まなければなりません。
これは忙しい学生さんや社会人にとって、
肉体的な負担のみならず、
精神的な負担になるのではないかと思います。
大切なことは、
たとえ予防接種を受けていても安心せず、
流行期にはかからないように
手洗いマスクなどで注意することだと思います。
先日当院の職員もかかりましたし、
お子さんがかかり出勤できなくなる職員もいて、
当院も総力戦で診療しています。
皆様もしばらくは十分に注意されてくださいね。
また高熱、倦怠感、悪寒、関節痛などの
症状がある際には、
一度検査にいらしてください。