2018年11月27日
早いもので今年も残すところ、
たったの1月になりました。
私はまだ心の準備ができていません(笑)
医院では11月15日より、
インフルエンザワクチンの供給不足で、
予防接種の予約を中断しております。
12月になればほんの少しずつ
ワクチンが入ってくる予定ですが、
まだ十分というほどではないようです。
皆様には大変ご迷惑をおかけし、
申し訳ありません。
●
さて、
今回は「特定健診」について、
少しお話してみようと思います。
皆様は、
この健診が一体どのような健診なのか、
ご存知でしょうか?
特定健診は正式には「特定健康診査」といい、
2008年4月より開始された健診です。
開始されてから10年になります。
一般的には「メタボ健診」と呼ばれており、
そちらのほうが聞き慣れているかもしれません。
検査項目は、
1.既往歴の調査
2.自覚症状、他覚症状
3.身長、体重、腹囲
4.BMI測定
5.血圧測定
6.GOT、GPT、γ-GTP (肝機能検査)
7.中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール
8.血糖測定
9.尿中糖、蛋白 (尿検査)
です。
パッと見たところ、
検査項目が少ないと思いませんか。
血液検査(肝機能、脂質、血糖のみ)、
それと尿検査だけです。
この健診の意図は、
肥満(メタボ)の人を拾い上げ、
生活習慣病を予防、改善することです。
生活習慣病を減らすことにより、
動脈硬化による脳梗塞、心筋梗塞を防ぎ、
将来の医療費削減に結びつけるというものです。
検査項目の中で
もっとも重要なものは腹囲とBMIです。
腹囲が男性85㎝、女性90㎝以上の方は全員、
BMI(体重㎏÷身長m÷身長m)が25以上の方は、
血糖、脂質、血圧のいずれかが引っかかれば、
いずれかの保健指導の対象となります。
BMIは22が正常で、
160㎝の方では56.3kgが標準体重になります。
25を超えると肥満というカテゴリーになります。
保健指導には、
「動機付け支援」と「積極的支援」の
2つが用意されています。
「動機付け支援」は簡単に言えば、
現在の生活習慣を見つめ直し、
少し運動や食事に意識を高めるというもの。
「積極的支援」は、
食事内容の見直し、運動の方法などを検討し、
医師や看護師が定期的にメールや電話などで支援し、
より厳格に管理することです。
いずれも開始3か月後にチェックし、
最終的な効果判定を行い終了となります。
では逆に、
腹囲もBMIも問題のない方は、
どうなるのでしょう。
やせ型や標準の体形の方は
健診の目的からすると対象から外れます。
もちろん受けることは可能ですが、
意義からするとあまり効果的ではありません。
おそらくこのことが、
この健診に「特定」という名前が
つけられた理由ではないかと思います。
全員を対象にしているのではなく、
「特定の人」=「メタボの人」がターゲットの
健診となっているのです。
従ってメタボではない方には、
単に項目の少ない血液検査と尿検査を
行っただけということになります。
国の政策なので医療経済的効果等
重要な要素はいくつかあると思うのですが、
その辺をきちっと説明しないと、
どのような方にも有意義な健診ではないようです。
つまり毎年この健診を受けているから
安心というほどの、
項目は入っていないように思います。
さらに高血圧や糖尿病、脂質異常症などで
すでに通院中の方にとっては、
検査項目はほぼ日常の診療の中に含まれていますので、
わざわざ受ける必要はないと思います。
また実際健診をしていて思うことですが、
こういった検診を受けに来る方は、
メタボの方よりそうではない方の方が、
何となく多いような気がします。
「生活習慣病を減らすことにより、
動脈硬化による脳梗塞、心筋梗塞を防ぎ、
将来の医療費削減に結びつける」
この視点からすると、
やはり肥満のある方に積極的に受けていただかないと、
意義そのものがなくなると思います。
ではメタボでない方は
どうすればいいのでしょうか。
喫煙者や高血圧でなければ
動脈硬化のリスクは低いので、
あまり心血管、脳血管系の心配は
いらないかもしれません。
このような方々は生活習慣病より
やはり悪性疾患(がん)に対して、
より意識を高めたほうが良いと思います。
各自治体ではがん検診を行っています。
京都市でも以下のがん検診を
行っています。
・子宮がん検診
・大腸がん検診(便潜血検査)
・胃がんリスク層別化健診(ABC健診)
・乳がん検診(マンモグラフィー、エコー)
・前立腺がん検診(PSA測定)
・胃がん検診(胃カメラ又はバリウム)
・肺がん検診(胸部レントゲン)
こうしてみると
たくさん行われていますね。
メタボでない方はこのような検診を
より積極的にお受けになれば
いいのではないかと思います。
当院でも京都市の委託事業として、
大腸がん検診、胃がんリスク層別化検診、
前立腺がん検診、胃がん検診(胃カメラ)を
お受けいただくことが可能です。
ただしメタボの方が
がんにかかりやすいともいわれていますので、
結局全員の方が受けてもらうほうがいいです。
まとまりのない話ですみません。
詳しくはこちらをご覧ください
↓
京都市情報館 がん検診
公的な補助のある健診は安価である反面、
検査が簡素であったりセットで受けられなかったり、
デメリットもあります。
その場合は健診センターなどが提供する、
用途に合わせて組み合わされた健診を
お選びいただいてはどうかと思います。
自費なのでそれなりの費用がかかりますが、
自分に合ったコースを選べたり、
オプションで気になる項目を付加できるなど、
自由度が上がります。
毎年受けなくても、
普段は特定検診などを利用しながら、
例えば3年や5年に一度、
大きな健診を受けてもいいと思います。
私も先日初めてPET‐CTを
受けに行きました。
普段は年1回当院で実施する
簡単な職員健診を受けていますが、
45歳の節目で受けることにしました。
PETは高価なので毎年受けるのは大変ですし、
そこまでやる必要もないかと思います。
幸い何も見つかりませんでしたので、
まだしばらくは皆様の健康管理の
お供をさせていただこうと思っております。
皆さんもご自身に合った健診を
お選びになってください。