京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院 京都市上京区
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腸内フローラについて

2018年6月17日

今日は梅雨の中休み、
初夏のすがすがしい晴天です。

鴨川の流れも清らかに、
川底まで透き通って見えます。

そんなさわやかな天気の日もありますが、
このところ北区の小学校や、
上京区のホテルでノロウイルス食中毒の
報告がありました。

これからの季節食中毒が増えてきます。
皆様も生ものの取り扱いには、
十分ご注意くださいね。

 

 

さて今回は腸内細菌のお話です。

皆様も聞かれたことが
あるかと思います。

腸内細菌の集まりを、
腸内フローラと呼ぶこともあります。

 

腸の中では多種多様な菌が、
お互いバランスを取りながら、
生体を守るシステムを構築しています。

 

主な働きは、
健康維持、免疫防御機能、
そして食べ物を体に有用な物質に替え、
供給することなどです。

 

腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌
と呼ばれる3つのグループに分けられます。

 

善玉菌は腸の運動を促進し、
消化、吸収を促進し免疫力を高め、
健康維持の役割を担っています。

乳酸菌、ビフィズス菌に代表されます。

 

悪玉菌は増加すると腸内環境を悪化させ、
病気や老化の原因となる、
毒素や発がん物質を産生します。

病原性大腸菌やウェルシュ菌などが
これに当たります。

 

また日和見菌は、
成り行きで優勢な方に加担する性質の菌で、
普段は特に体に影響はありません。

 

離乳期に固有の腸内フローラが形成され、
その後は善玉菌、悪玉菌のバランスは、
ほぼ一定に保たれています。

しかし、加齢とともに変化し始め、
老年期になると善玉菌が減り、
悪玉菌が増えてゆく傾向にあります。

加齢以外には食生活の乱れ、
ストレス、抗菌薬のような薬で、
腸内細菌のバランスが崩れる原因となります。

 

腸内細菌のバランスが崩れ悪化すると、
様々な病気の引き金になると言われいています。

例えば以下のような病気です。

・過敏性腸症候群
・うつ病
・糖尿病
・感染症
・大腸がん

個々の病気の説明は省略しますが、
このように腸内細菌は健康維持に、
大切な役割を果たしているのです。

 

そんな腸内細菌ですが、
最近ではコマーシャルベースで、
自分の腸内細菌を調べることができるそうです。

先日検査会社の方から、
「こんな検査が最近できるようになりました」と
案内していただきました。

(当院ではまだ扱っておりません)

 

検査方法は簡単なようです。

ご自身で採便し提出するだけで、
腸内細菌叢レポートにて
結果が送られてくるとのことです。

 

報告内容は次の4つです。

 

1.菌種を3タイプに分類

バランス調整菌、バランスかく乱菌
能力未知菌の3種類に分類されるそうです。

 

2.注目されている腸内細菌の有無

ビフィズス菌、乳酸菌、痩せ菌などの
注目度の高い菌について、
詳細なコメントのついた報告があるそうです。

 

3.腸内フローラの多様性の評価

種の豊富さを示す多様性を調べます。
正常な腸内には多様性指数が高いことが
知られているそうです。

 

4.肥満との関連

肥満の方はFirmicutesという菌が多く、
Bacteroidetesという菌が少ない傾向にあるそうです。
この菌種の比率で肥満指数として示されます。

 

以上のような内容だそうです。
何か面白そうですね。

 

でもこんな高度な培養検査が、
個人のレベルで
受けられること自体が驚きです。

世の中技術はどんどん進むので、
これまで研究レベルと思っていたことも、
いつの間にか身近になっています。

 

そうはいっても腸内細菌は、
まだまだ分からないこともあり、
これからの解明が期待されます。

ひょっとすると今後はお薬などは必要なく、
腸内細菌を調整することで、
病気自体が根本から治ってしまう、
そんな時代が来るかもしれませんね。

 

吉岡医院  吉岡幹博

 

★ご参考:当院過去のブログ

「腸内フローラ」はまるで”指紋”

「プロバイオティクス」で体質改善

「プロバイオティクス」とピロリ菌除菌