2018年6月7日
6月に入り蒸し暑くなってきました。
いよいよ梅雨の季節ですね。
この時期風邪の患者様は多くありませんが、
何となく倦怠感を言われる方が
多いように思います。
高温多湿、
屋外にいなくても脱水等、
体力を消耗することがあります。
皆様も熱中症等、
お気をつけください。
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さて今回は、
乳がん検診のお話です。
乳がん検診は各自治体で多少異なりますが、
京都市では2年に1回、
30歳以上の女性を対象に行われる、
乳がん発見のための検診です。
今までの乳がん検診では、
エコーやマンモグラフィーとともに、
医師による視診、触診が行われていました。
視診、触診(略して視触診)とは、
医師が目で乳房を観察してくぼみがないか、
手で触れてしこりがないか、
リンパ節が腫れていないか、
乳頭から分泌物がないかなど診ることです。
その視触診が、
今年度の京都市の健診から
廃止されることとなりました。
乳がん検診では視触診は当たり前ですが、
どうしてこのようなことになったのでしょう?
これは平成27年に厚労省が、
視触診の実施を推奨しないと、
通達を出したことから始まりました。
それには以下のような理由があるためです。
▽必ずしも最適な検査法ではない
▽手技に十分習熟していない医師もおり
精度が低い
▽欧米では視触診を併用していない国も多い
このようなことから、
「必ずしも実施しなければいけないものではない」
と結論付けられたそうです。
(詳しくは当院過去のブログをご参考ください)
時代とともに変わるがん検診
もちろん
これは京都市だけのことではありません。
健診は基本的には、
内容が各地方自治体に任せられていて、
市町村ごとに微妙に検査内容が異なります。
同じ京都府でも、
舞鶴市などでは早くから、
視触診の廃止を行っています。
視触診がなくなると、
実際にはどうなるのでしょうか?
京都市の場合、
健診は2年に一度、
30歳以上の方が対象です。
30年12月31日までに、
偶数の年齢の方が対象となりますが、
前年受けていなければ、
奇数の年齢の方も対象となります。
30歳代:乳腺エコー(超音波)検査
40歳以上:マンモグラフィー(乳房X線)
となります。
※あくまでも京都市の市民の方が対象です。
他市町村の方は各自治体の案内を
御覧ください。
視触診がなくなることにより、
健診受診者は、
医師との対面がなくなります。
ここからが重要です!
今までは、しこりがある、痛みがある、
などの症状を医師が聞き、
視触診を実施し判定してきました。
しかしこれからは、
そのような症状を考慮することがなくなり、
検査の結果のみで判定されることになります。
検査にはひっかからないが、
症状がある乳がんの方が、
見逃される可能性があるのです。
そこで今年の健診からは、
対象は「無症状の方に限る」とされています。
原則症状のある方は受けないようになっています。
乳房の症状というのは具体的には、
しこりや痛み、乳房から分泌物のあること
などを指します。
このような症状がある方は、
健診ではなく直接乳腺外来を受診するように
勧められることになっています。
ここが今までと大きく変わるところです。
症状のある方に関しては、
その時点で要精密検査ということになるのです。
ということで、
視触診がなくなることで、
検査が一つになり、
受ける時間等も短くなると思います。
若い方で今まで抵抗があり、
受けていない方もおられるかもしれません。
そのような方は少しハードルが、
下がるかもしれませんね。
乳がん検診の一番の問題点は、
やはり受診率が低いということです。
乳がんは女性では
罹患率の多いがんの一つですし、
皆様も積極的にお受けになってください。