2018年5月27日
5月らしいさわやか晴天が続いています。
九州では梅雨入りしたようで、
いい季節はすぐに去っていくものですね。
梅雨 → 蝉の声 → 猛暑。
今からこの暑さですと、
この先少し思いやられます。
皆様も脱水症等、
体調管理にお気を付けください。
●
さて、
皆様もご存じのように、
最近はある出来事をきっかけに
アメリカンフットボールがにわかに
脚光を浴びております。
関学と日大。
共に学生アメフト界の、
古くからの強豪です。
タイトルからいかにも私が、
アメフトをやっていたかの勢いですが、
私はアメフトをやったことはありません。
単なる一アメフトファンであります。
私のアメフトとの出会いは、
私が小学校低学年の頃に遡ります。
当時から、
西日本の学生アメフト界は
長らく関学の一人勝ちでした。
そこに割って入ったのが京大でした。
当時も今も京大といえば、
学生スポーツ界では弱小軍団です。
(失礼な表現ですがお許し下さい)
1982年秋のリーグ戦の事でした。
京大はその年の最終戦で王者関学を撃破し、
初めて甲子園ボウルの切符を手に入れたのでした。
私の父は母校でもある京大が、
関学に勝ったことをすごく喜んでいました。
私はその影響で初めてこの競技を知りました。
私も地元の(勉強一筋の)大学が、
(スポーツ一筋の)私立の強豪を倒すところを、
多少畏怖の念も込めて見ておりました。
その年甲子園ボールに初出場した京大は、
東の王者日大フェニックスと対戦し、
けちょんけちょんにやられました。
父は戦前から負けることを確信していたのか、
テレビ中継は一瞬見ただけで、
京大の劣勢を確認するとすぐに番組を変えました。
子供心にも、
グレーに白の地味なユニフォームを着た京大は、
鮮やかな真っ赤なユニフォームをまとった、
東京のスター軍団の前には見劣りしていました。
当時から日大はショットガンフォーメーションで、
華麗なパスを次々に成功させ、
京大の泥臭いランプレーは歯が立たなかったのです。
私はすぐに、
アメフトの魅力に憑りつかれました。
ただルールが良く分かりません。
小学生の私にはきわめて難解でした。
そこで書店にゆき、
ルールブックを探しましたが、
当時はまだまだマイナースポーツ。
簡単には見つけられませんでした。
何とか何件目かの本屋で、
長らく誰にも買われなかったであろう
背表紙が色あせた解説本を見つけました。
本は隅々まで読みました。
ルールが分かってくると、
更にアメフトにのめりこみました。
楕円形のボールも購入し、
まっすぐ投げる練習もしました。
そしてその次の年、
関学を抑え2連覇を果たした京大は、
甲子園ボウルでショットガンの日大を破り、
見事学生日本一となったです。
更にその年から始まったライスボウルでは、
勢いのまま社会人のレナウンを破り、
初代日本一まで上り詰めたのです。
その先しばらくは京大の黄金期が続き、
やがて常勝となった京大の物珍しさもなくなり、
私のブームも去っていったのでした。
今回の悪質な反則タックル事件で、
久しぶりに日大フェニックスの名前を
聞きました。
鬼のように強かった日大も、
篠竹監督の晩年は低迷していたとのこと、
あまり知りませんでした。
反則タックルの映像を見たときには、
これは傷害事件だと思いました。
タックルを受けた側は無防備で、
車での追突事故に遭ったのと同じような、
大きな衝撃だったのではないでしょうか。
その後、
反則をした学生の申し開きの会見があり、
翌日には監督とコーチの会見がありました。
誰が真実を語り、
誰が嘘をつき、
誰が僅かな良心と保身の狭間で苦しんだか、
会見を見たほとんどの方が、
お分かりになったのではないかと思います。
三者三様、
表情や態度が全く異なり、
とても分かりやすい会見だったと思います。
この事件がこれほどまでに注目されるのは、
これは単なるスポーツの世界で起きた、
傷害事件に収まらないからだと思います。
余談ですが、
先日私が出席した医師会での会議の冒頭、
主催者もこの件に触れ、
日大がどのように対処し終息させるか、
組織として注目していると発言していました。
この件は、
大きな組織から小さな組織まで、
日常でも多かれ少なかれ起こりうるトラブルの
縮図のようなものではないかと思います。
また極端に権力が偏った組織が、
その立場により人をどのように変えてしまうのか、
今回の3人がまさにその立場の代表だと思います。
そして往々にして事件が起こってしまった時、
どのように組織として対処するか、
誰が権力の集中したものに対し処罰を与えるか、
そこを多くの方が注目しているのだと思います。
日大は監督に対し、
監督の指示で事件が起こったことを認めず、
監督が会見で嘘の証言をしていることを認めず、
単なる部員の不祥事として引責辞任させて
幕引きを図ろうとしているところに、
世間の人々の不満がたまっていると思います。
その後に出てくる関係者の会見も、
あまりにお粗末でした。
反則を犯した選手は加害者ではなく被害者。
彼が語ったのがこの出来事の唯一の、
pureな部分だと思います。
そして苦し紛れに会見に応じたコーチ、
彼にはまだ僅かに救える部分が、
残っているのではないでしょうか。
しかし会見では、
選手を守らず自分にも嘘をついていました。
その責任は取らなくてはならないでしょう。
問題は全く表情一つ変えなかった監督。
この人にはもはや良心はなくなっているようです。
あろうことか学生・部下を
躊躇なく切り捨てました。
野党に同調するつもりは全くありませんが、
森友、加計問題で答弁をする、
国家のトップも同じことをやっています。
誰が見てもほぼ黒で間違いないが、
下に責任を転嫁することで、
本人は白としているのです。
残念ながら
森友の一連の問題では
自殺者が出ています。
今回の反則タックルの件でも、
問題の処理を過り長期化すれば、
このような悲劇が起きないとも限りません。
起こってしまってからでは、
遅いのです。
この会見を見ながら、
ふと、
数年前にはやったドラマ、
『半沢直樹』のクライマックス、
土下座のシーンが頭をよぎりました。
この監督もいずれは八方ふさがりとなり、
(実際やるかことはないと思いますが)
関係者に対し土下座をするのでしょうか?
久しぶりにネットの動画で見ました。
最終回のクライマックス、
半沢直樹が取締役会で大和田常務の不正を暴き
土下座させるシーンです。
その時の半沢直樹の
鬼気迫るセリフが印象的でした。
(ドラマ・半沢直樹より引用)
『モラル?
この銀行にまだモラルなんてものが存在するんですか?
私の言ってることと、大和田常務の言ってること。
どちらが正しくて、どちらが間違っているか、
少し考えれば、どなたにでもわかるはずです。
しかしみなさんは、これまでずっと、
このテーブルの上で黒だと思っているものを
詭弁で白にすり替え続けてきました。
その結果が今のこの銀行です。
弱いものを切り捨て、
自分たちの勝手な論理を平気で押し付ける…
問題は先送りにされ誰ひとり責任を取ろうとしない。
くだらない派閥意識で、お互いに牽制し合い、
部下は上司の顔色を伺って
正しいと思うことを口にしない。
そんな銀行はもう…
潰れているようなものです。
これ以上、
自分たちをごまかし続けるの
はやめましょう。
黒は黒。白は白です。
そうは思いませんか?』
「銀行」の部分を「大学」と置き換えて、
読んでみてください。
業界や組織は違えど、
今回の日大の問題と共通する部分が、
あるのではないでしょうか。
それにしても久しぶりに見た香川照之さんの、
顔芸はすごいと思いました。
表情筋はこれほど巧みに操れるものでしょうか。
改めて、私の知る中では、
ナンバーワンの顔芸と思いました。
因みにそれまでのナンバーワンは、
横山ホットブラザーズの、
のこぎりで音階を操る方でした。