2018年3月7日
3月に入り
急に気温が上昇し、
一気に春を感じるようになりました。
風邪の患者さんはまだまだ多いですが、
インフルエンザの割合が
少なくなってきました。
まだまだ寒い日もあります。
気温の寒暖差が日によって大きいこの時期、
皆さんも体調管理にお気をつけください。
●
先日当院に電話で連絡があり、
「鯖寿司を食べたあとにお腹の痛みがある、
診察してほしい」との依頼がありました。
鯖寿司を食べたあとの腹痛といえば
最近有名になったアニサキスが疑われます。
来院していただきました。
話では食べてからもう3日も経っていましたので、
痛みの原因がアニサキスかどうか確信はもてませんが、
やはり検査はしておいたほうが良さそうです。
同日緊急で胃カメラを実施しました。
(注:この先胃カメラの画像が出てきます)
まず食道から胃の中に入ります。
↑ 胃の粘膜はややむくんでいますが、
まだアニサキスかどうかはわかりません。
空気で膨らまし洗浄しながら観察します。
↑ まずは胃全体をぐるっと観察します。
胃の中は比較的きれいで、
すぐに見てわかるような異常所見はありません。
↑ 画面左上のあたり、
少し粘膜が赤く炎症を起こしています。
このあたりは少し怪しい感じします。
↑ もう少し空気を入れてひだを伸ばします。
画面中央左寄りに一筋の細い白色の物体が
僅かに見え隠れしました。
食べ物の残留物なのか、
たまたま光の加減でそのように見えたのか。
周囲を洗いながらちょっと近寄って確認します。
↑ 胃の粘膜に片方は刺さっているように見えます。
大きさからしてアニサキスだと思われます。
捕獲開始!
(注:ふざけているわけではありません)
↑ 生検用の鉗子でそっとつかみ引っ張ると、
やはり頭部は胃粘膜に噛み込んでいました。
アニサキスで間違いありません!
ゆっくりちぎれないように引き抜きます。
やや繊細な作業なので少し緊張します。
↑ 無事に引き抜けました。
長さは3cmほどで、このように軽くとぐろを巻きながら、
クネクネと動きます。
鉗子で掴んだまま鉗子ごと引き抜き、
無事捕獲完了です。
1匹とは限りませんので、
その後もう一度胃の中全体を観察しましたが、
今回はこれで終了となりました。
アニサキスは昨年社会的にも周知されたためか、
報告件数が増えているようです。
アニサキスは届け出が必要な感染症ですので、
私も後日役所に報告しました。
皆さんもお気をつけくださいませ。
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ところで明日は
何の日かご存知でしょうか?
3月8日。
「サバの日」です。
サバの日の前にアニサキスの話題など、
不謹慎だ!と怒られそうですが、
私も実は鯖寿司が好きなのです。
デパートの地下などでは、
すごくきれいに作った鯖寿司などあると、
つい衝動買してしまいます。
でもやっぱりアニサキスのことが、
脳裏をよぎるため、
食べる時には変な緊張感があります。
昨日たまたまニュースで見たのですが、
「お嬢サバ」と言う種類のサバがあるそうです。
陸上の養殖施設で育てたサバで、
アニサキスなどの寄生虫の心配がないことから、
お刺身で食べられるそうです。
なぜ「お嬢サバ」と呼ぶかというと、
世にいう「お嬢様」には「悪い虫がつかない」
ということとかけてあるそうです。
ネーミングが、サバらしいですね!
(素晴らしいとかけてみました)
皆様もサバの日を
楽しんでくださいね。