2018年2月17日
インフルエンザの猛威も少し一段落、
まだまだ寒い日もありますが、
少しピークを越えたでしょうか。
皆様お変わりありませんか?
さて今回は、
前回のブログの続きです。
昨年1年間に当院で発見された
胃がん・大腸がんについて
少ない件数ではありますがまとめてみました。
少し重い内容かもしれませんが、
簡単にまとめましたので、
気軽に読んでいただけると幸いです。
まずは胃がんからです。
昨年見つかった胃がんは、
全部で8件でした。
偶然ですが全員男性で、
年齢は61歳~87歳、
平均年齢は70.1歳でした。
当院初診で検査に受けに来られた方が2名、
それ以外の6名の方は当院通院中、
あるいは通院されていたことのある方でした。
胃がんにはステージは1~4まであるのですが、
最も早期のものがステージ1、
(1の中にはA、Bと2段階ありAがより早期です)
転移など最も進行したものがステージ4です。
当院の結果では、
8件中7件がステージ1が、
残り1件はステージ4でした。
注目していただきたいのは、
当院通院中の患者様から
6件の胃がんが見つかったことです。
うち2件はピロリ菌除菌後や糖尿病のある方で、
定期的に胃カメラを実施している方で、
2件は貧血や胃痛など症状のある方です。
また残りの2件は、
過去に通院歴のある方で、
今回症状があるため受診されました。
当院に通院中または通院されている方6名では、
幸いステージ1Aまたは1Bと早い段階で見つかっており、
うち3名の方はESDという胃カメラで病変を切除する、
体にメスを入れない治療で治癒を得ています。
また1名の方はESDで病変が切除しきれたのですが、
病理検査の結果リンパ節転移の懸念があり、
後日胃切除を追加されました。
残りの2名の方も早期でしたが、
内視鏡では取り切れない段階でしたので、
手術で切除され治癒を得ています。
やはり発見が早ければ早いほど、
体の負担の少ない、
簡単な治療で終わっています。
また今回ステージ4で見つかった方は、
当院を初めて受診されたときには、
すでにがんが進行した状態でした。
体力的にもかなり消耗されており、
もう少し早期の受診が望まれる方でした。
定期的な内視鏡検査や
症状があるときには念のため検査をするといったことで、
早期のがんが発見できる可能性が高くなります。
また年齢的には60代が多く、
50代以降の方は積極的な検査が
望まれるとことです。
検査する側としましては、
誰が見てもがんだとわかるものだけでなく、
非常に早期の小さながんが見つかっていることが、
検査の精度を保つ点で良かったと感じております。
もちろん早期がんが多く見つかったからと言って、
見落としがないとは言えませんが、
そのような発見できなかった病変については、
次の機会に必ず拾い上げるよう、
定期的な検査を行っていく必要があると思われます。
普段から胃の症状のある方、
ピロリ菌除菌後の方はなるべく、
定期的に内視鏡を受けるようになさってください。
さて、
次は大腸がん症例です。
昨年1年間で発見された大腸がんは、
全部で9件でした。
男性が3名、女性が6名で、
年齢は54歳~85歳で
平均年齢は69.4歳でした。
胃がんとは対照的に、
検査のために当院を初診で受診された方が、
9件中8件を占めました。
これは、大腸カメラは胃カメラと違い、
無症状の方が定期的に検査をされるものではなく、
健診で異常を指摘されたり、症状があったりした時に、
初めて受けておられるためと考えられます。
その理由としては、
胃カメラは絶食のみで検査可能となるのに対し、
大腸カメラは前日からの検査食、当日の下剤が必要で、
検査にも胃カメラと比較し負担が多いためと思われます。
そのため健診ではまず便潜血検査が行われ、
陽性になった方が大腸カメラに回ってくるのです。
当院の結果でも、
健診の便潜血陽性で見つかった方が3名おられ、
幸いいづれもステージ1で治癒となっていますが、
治療には腹腔鏡による切除手術が必要でした。
血便も便潜血も貧血も出血という意味では同様で、
9件中8件が出血の症状や検査で見つかっています。
それだけ大腸がんのサインとして出血は重要といえます。
従って、健診で便潜血陽性を指摘されたら、
たとえ無症状であっても、たとえ痔があろうとも、
必ず大腸カメラを受けてください。
年齢に関しても60代がやはり多く、
50歳を過ぎた時点で、何か症状があれば、
一度大腸カメラを受けておかれたほうが良いでしょう。
以上、
少ない件数であまり説得力はありませんが、
胃がん、大腸がんの症例について
簡単に考察してみました。
メッセージは以下の2つです。
①胃がんは定期的な胃カメラで、
早期発見を心がけましょう。
②大腸がんに対しては、
排便時の出血や便潜血検査陽性があれば、
大腸カメラを受けるようにしましょう。
早期発見が大切ということも、
その後行われる治療の違いからも
明らかかと思います。
ご参考になれば幸いです。