2018年1月27日
雪がちらちらまう、
寒い毎日が続いております。
ここ数年で最大級の寒波だそうですね。
皆様お変わりありませんでしょうか。
今週に入ってから、
毎日インフルエンザの患者様が
大幅に増加しています。
先日はインフルエンザの患者様が、
1日だけで20名を超えた日があり、
私が開業するようになってからまだ7年ですが、
最も多かったのではないかと考えています。
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そこで今回はインフルエンザについて、
その病気の特徴と
お薬について説明いたします。
インフルエンザと言っても、
実はインフルエンザ菌という細菌もありますが、
毎年流行するのはインフルエンザウイルスの方です。
インフルエンザウイルスにはA型、B型に加え、
C型もあるそうですが、
大きな流行はA型とB型です。
A型はヒト以外に鳥、ブタ、ウマに存在し、
B型はヒトのみに存在します。
2009年に世界的に流行した新型インフルエンザは、
現在は通常の季節型インフルエンザとして扱われ、
インフルエンザA(H1N1)2009が正式名称となっています。
当時は大騒ぎでしたが、
米国では12,000名にのぼった死亡者数も、
日本では200名と極めて少なく抑えられました。
これは早期に抗ウイルス薬を、
徹底したためと言われれています。
当時はタミフルが不足し、
使用期限が過ぎたタミフルも使用可能とするほど、
逼迫した状況だったことを思い出します。
インフルエンザの感染経路は、
よく御存知の通り飛沫感染(空気感染)が
大きく関与しています。
潜伏期間は24~48時間と短く、
発病後は3~5日間喉に潜んでいるようです。
症状は高熱から始まり、喉の痛み、頭痛、関節痛、
四肢の痛み、全身倦怠感など多彩な症状が出ます。
通常は2~3日で解熱し、
その後鼻水や咳などの症状を経て、
完全な回復には1~2週間を要します。
若くて健康な方にはそれほど怖い病気ではありませんが、
高齢者や持病を持っておられる方には、
細菌性肺炎を合併することがあり、
入院や死亡の原因となっています。
それなので、
インフルエンザ予防のワクチンと一緒に、
高齢者では肺炎球菌ワクチンの接種が、
強く勧められています。
しかしインフルエンザウイルスは毎年、
突然変異を起こし抗原性が少しずつ変化します。
これがワクチン効果の低下につながります。
そんなこともありワクチンを打った方でも、
かかってしまうことも少なくはありませんので、
皆様もご注意ください。
さて、治療の方でですが、
現在インフルエンザの治療薬としては、
経口薬のタミフル、吸入薬のリレンザ、イナビル、
注射用のラピアクタと4種類あります。
一番聞き覚えのあるのは、
タミフルではないでしょうか。
1日2回5日間内服します。
治療にも予防にも有効で、
副作用には悪心、嘔吐、頭痛がありますが、
実際あまり気にするほどではありません。
2007年タミフル内服後の異常行動が問題になり、
厚労省は10代のインフルエンザ患者での、
タミフルの使用を原則禁止にしています。
タミフルの次に良く知られているのは、
吸入薬のリレンザではないでしょうか。
1日2回(朝・夕)吸引し5日間使用します。
治療・予防に使用でき安定感があり、
タミフルのような年齢制限もなく、
使用頻度の高いお薬です。
副作用に咳の悪化、気管攣縮(けいれん)があり、
喘息患者さんには使用しませんが、
実際のところあまり問題にはなりません。
続いてイナビルです。
2010年に承認された、
比較的新しい吸入のお薬です。
長時間作用型でたった1回の吸入で、
タミフル5日間と同等の効果が
報告されています。
従って治療も1回きりです。
場合によっては薬局で、
その場で吸入の指導とともに吸入し、
治療終了となります。
便利なようですが1回きりの勝負ですで、
吸入の時に咳き込むなどで、
うまく吸入できなければ治療が不十分になります。
従って高齢者では吸い込み力が弱いので、
1発勝負よりはリレンザやタミフルなど、
5日間服用する方が安心できます。
また最近では海外では有効性が示せず、
開発が中止された経緯もあるようですので、
私もあまり処方はしません。
最後にラピアクタです。
2010年に承認された唯一の静脈注射用の
抗インフルエンザ薬です。
お薬が口から飲んだり吸ったりできない方、
認知症や寝たきりの高齢者などに使用し、
原則は入院患者様に用います。
当院では1名行ったかどうかで、
使用機会は殆んどありません。
また、インフルエンザ薬を
予防投与することもできます。
家族がインフルエンザになった時など、
自分がかからないようにするため、
使用することを予防投与といいます。
タミフル、リレンザ、イナビルで、
予防投与が認められています。
例えばタミフルでは、
1日1回で10日間使用します。
使用が勧められるのは以下の方々です。
・慢性呼吸器疾患または慢性心疾患がある方
・糖尿病などの代謝性疾患がある方
・腎機能障害がある方
・65歳以上の高齢者
このような方ではインフルエンザの感染で、
重症化することがあるためです。
しかし予防投与は、
ワクチンと同じで保険診療ではありません。
自費診療となりますのでご注意ください。
ということで、
インフルエンザが猛威を振るっているこの時期、
かからないようにするのも大切ですが、
ご自身がかかった時には、
周りにうつしてしまわないことも大切です。
高熱がなくても、風邪症状に加え、
全身倦怠感、頭痛、関節痛など、
疑いのある方は受診されてください。
不幸にもかかってしまった時には、
きっちり治療するとともに、
決められた期間自宅療養をなさってください。