京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院 京都市上京区
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糖尿病性腎症の重症化予防:京都府の取り組み

2017年12月7日

寒い日が続いていますが、
皆様お変わりありませんか?

この数日の強烈な寒波で、
風邪の患者様が急増しています。
今週は数名インフルエンザも見つかりました。

ということで恒例により、
当院では今週の月曜日より、
発熱者専用診察室を開けました。

38度以上の高熱の方、
インフルエンザの方と接触された方は、
奥の待合室から診察を受けていただきます。

ご協力のほど、
よろしくお願いいたします。

 

 

さて、
今回は糖尿病性腎症のお話です。

糖尿病性腎症ってご存知ですか?

糖尿病の合併症にはメジャーなものが3つあり、
3大合併症と呼ばれています。

①神経障害
②網膜症
③腎症

しんけい、め、じんぞう、なので
「しめじ」と覚えましょう。

神経障害は主に足の裏の、
神経がやられ感覚がなくなります。

ちょっとした傷も気づかずに放置、
ひどい感染を引き起こしたりして、
場合によっては下肢の切断に至ります。

眼は網膜症が起きると、
網膜の血管障害がおこり最悪失明します。
失明の原因でも糖尿病は多くなっています。

そして腎症ですが、
腎臓の重要な器官である糸球体が、
徐々に硬化し機能しなくなります。

糖尿病をきちっと治療しないと、
腎機能は徐々に低下し、
最終的には腎不全になります。

これらの合併症は、糖尿病を放置したり、
治療やコントロールが不十分になると進行し、
日常生活でも大きな障害となります。

京都府はこのたび、
この糖尿病性腎症の重症化を予防する
プログラムを作成することになりました。

京都府だけではありません。

もともとは日本糖尿病対策推進会議というものが、
日本医師会、糖尿病協会、糖尿病学会の三団体で、
平成17年に設立されました。

それがこの度各都道府県医師会レベルでの
地域糖尿病推進会議の発足につながり、
平成29年7月に京都府にも同会議が設置されました。

なぜ糖尿病性腎症がターゲットなのか。

そこには医療費の問題が関係しています。

糖尿病性腎症は悪化すると、
慢性腎不全となり、
透析なしでは生きていけなくなります。

透析というのは、
通常なら腎臓で処理されていた老廃物や水分を、
血液を体外循環のフィルターに通し、
人工的にろ過する仕組みです。

週2回から3回、数時間にわたり、
病院で機械につながれて拘束されます。

日常生活における負担も相当ですが、
それにかかる医療費も、
かなり大きな額です。

京都では毎年新たに約650人もの人が、
慢性腎不全で透析導入されているそうです。

そのうちの約300人が、
糖尿病性腎症からの患者様です。

透析の原因の約半分が、
糖尿病によるものです。

透析にかかる医療費ですが、

○透析1人当たり 500万円/年
○京都府の糖尿病性腎症新規導入 300人/年

この数字から、
京都府だけで1年間に新たにかかる透析費用は、
一体いくらになると思いますか?

15億円です。
この医療費が毎年新たに必要となるのです。

今はやりの「35億」ではありませんが、
京都府だけでこの数字ですので、
全国に換算すると大変な数字になります。

また一人当たりでは、
50歳で透析導入されて20年間透析をすると、
1人にかかる医療費は1億円にもなります。

 

これを対策しないと医療費は増加の一途、
ただでさえ財源不足の保険制度の、
破たんの原因の一つになりかねません。

ということで、
「京都から糖尿病による透析を1人でも減らす!」
ということがスローガンのようです。

 

具体的には、

医療機関に通院していない糖尿病の患者様
(約半数は放置しているとのこと)、
または治療を中断している方に対して、
医療機関の受診を勧める。

ハイリスクな患者様に対する保険指導は
腎症を発症する前からアプローチする。

これらは特定健診の結果などをもとに、
郵送による通知、電話、面談などを
想定してるとのことです。

また、私のような「かかりつけ医」は、
糖尿病、腎臓病専門医との連携を強化し、
更に歯科医師、薬剤師、栄養士とも協力し、
糖尿病の重症化の予防を目指します。

 

糖尿病は初期には特に症状がなく、
治療せずに放置されている方も
多いとされている病気です。

しかし知らない間に病状は進行し、
失明や透析の生活となってからは、
日常生活はかなりの制約がかかります。

皆様も健診などを積極的に利用し、
糖尿病などの病気がないか、
定期的にチェックされてみては如何でしょうか。