2017年4月17日
4月も中旬になり、
楽しみにしていた桜の季節も
ぼちぼち終了です。
今年は4月上旬に花冷えが続き、
何とか先週末まで持ってくれたので、
私も昨日はお花見をしました。
混雑必至で嵐山に出かけました。
確かに賑わっていましたが、
大混雑というわけでもなく、
天気も良くてすこしだけゆっくりできました。
桜はほぼ、
終わりかけの状況でしたが・・・。
また来年に期待ですね。
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さて、
当院は消化器をメインとしておりますので、
毎日胃の調子の悪い方が
多数受診されます。
そして多くの方が、
胃カメラをお受けになります。
もちろん20代や30代の若い方でも、
お受けになる方はいらっしゃいます。
胃カメラを実施した際に、
ある程度の胃炎や胃潰瘍などがあれば、
これが症状の原因と考えられます。
この場合は話は簡単で、
「あなたの胃の痛みは、
このような胃炎、潰瘍が原因でした」
と説明します。
説明された方も一応、
「なるほど」と思うことができます。
ところがもし胃カメラをして、
食道にも胃にも十二指腸にも、
何も異常が見当たらない場合どうしますか?
「あなたの胃は何も問題ありません」
と言われれば、ホッとした半面、
「じゃどこが悪いんの?」となります。
その際医師は、
「これで痛みなど起こるはずがない!」と、
患者様の症状を仮病扱いしたりはしません。
胃カメラで異常の出ない、
胃の不調もあるからです。
この病状を「機能性ディスペプシア」と呼びます。
例えば粘膜に炎症がなくても、
胃の動きが悪くなる場合があります。
疲れやストレスがあるときなどです。
このような時には、
胃の粘膜障害は起きませんが、
自律神経が乱れます。
自律神経が乱れると、
胃は正常に動くことができず、
胃もたれや胃の痛みを引き起こします。
ストレスで胃潰瘍や胃炎が起きることがりますが、
それはかなりの強いストレスが起きた場合や、
おおもとにピロリ菌の感染がある場合です。
通常は粘膜障害は起きても、
ごく軽度のことが多く、
原因の大半は胃の動きの問題です。
このような胃の動きや働きが落ちることを、
胃の「機能的な」障害と呼びます。
それに対して、
胃炎や潰瘍、ポリープ、癌など、
粘膜に異常をきたしその結果症状が出ることを、
胃の「器質的な」障害といいます。
つまり胃の痛みや胃もたれなどの症状があり、
胃カメラをしても目立った異常がない場合は、
胃の「機能的な」障害を疑うことになります。
このような状態を医学的用語では、
「機能性ディスペプシア」と、
呼んでいます。
分かったようなわからないような・・・。
この名称、日本語では「機能性胃腸症」といいますが、
実は私もあまりピンと来ていないです。
何というか名前から病態がイメージしにくいからです。。
「ディスペプシア」とは、
消化不良などの意味だそうです。
でも「機能性ディスペプシア」と使う場合には、
胃や十二指腸における痛みやもたれなどの
様々な症状を指すようです。
ま、良くわかりませんね(笑)
ところで、
「機能性ディスペプシア」は、
珍しい病気なのでしょうか?
実は、
「機能性ディスペプシア」の方は、
とても多いです。
ピロリ菌が多かった時代や世代の方には、
胃カメラでは器質的疾患がよく見つかりました。
つまり、胃潰瘍や胃がんなどです。
しかしピロリ菌感染率が少ない若いかた、
40代より若年者に関しては、
大半が胃カメラで異常がない方です。
このような若年者で見られる胃の症状は、
多くが「機能性ディスペプシア」なのです。
もちろん、若年者のみならず、
年配の方、高齢者でもよくみられる、
一般的な病態です。
では、
大半が胃カメラで異常なしなら、
胃カメラは不要ではないかと、
思われる方もいるかもしれません。
でもその中の一部には、
胃潰瘍や胃がんの方が含まれています。
だから一度は検査は必要なのです。
・・・だいぶくどい話になってしまいました。
「機能性ディスペプシア」という、
私にもピンとこない病気のことを、
分かりやすく説明しようと思いこうなりました。
「胃もたれがする」「みぞおちがいたい」、
などの症状がありましたら、
「機能性ディスペプシア」かもしれません。
医師と相談いただき、
念のため胃カメラで異常のないことを
確認してもらってください。
治療については長くなりますので、
また次回お伝えいたします。