2016年9月27日
秋分の日が過ぎると、
なんだか急に日が短くなる気がして、
ちょっとさびしい気分になります。
夏が終わり秋が訪れるこの時期、
皆さんはどのようにお過ごしでしょうか?
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ところで皆さんは血圧の単位をご存知ですか?
よく130/70とか言っていますが、
単位はmmHg(ミリメートルエイチジー:水銀柱)です。
これは血圧という血管内の圧力を、
水銀を用いるとどれくらい高くまで上がるかという、
長さの単位にしてあらわしたものです。
130/70mmHgという血圧は、
水銀では高い方が13cm、低い方で7cmの
高さに相当しますという意味です。
なぜ水銀が使用されるようになったかと言いますと、
水銀は比重が13.6と重い液体の金属で、
血圧を測定するのに適当な重さを有するからです。
例えば、
血圧120mmHg(水銀で高さ12cm)を測定するには、
水を用いると163cmぐらいの高さが必要になるため、
現実的に測定するのは困難です。
水銀で測定すると高さ的に実測しやすく、
血圧計としても安定した数値を示すことより、
標準的に使用されるようになりました。
また水銀は体温計にも用いられていますが、
熱に対しての安定した膨張性や熱伝導の特性が、
体温計に向いていたということのようです。
・・・前置きが長くなりましたが、
ここからが本題です。
皆さんは、
これらの水銀でできた体温計や血圧計が、
やがて使えなくなるのをご存知ですか?
2013年に採択された、
『水銀に関する水俣条約』によるもので、
2020年以降、水銀を使った機器の製造、
輸出入が原則禁止されるそうです。
この条約は地球規模の水銀汚染の防止をめざし、
水銀の供給、使用、排出、廃棄などにおいて、
総合的な対策に取り組むことを求めています。
日本医師会が実施したアンケートより、
国内の診療所には、
水銀血圧計が約23万6000台、
水銀体温計は約42万3000本、
保有されていると推計されています。
ただし、
これは診療所だけの単純計算で、
病院も含めると膨大な数になるそうです。
そこで都道府県の医師会が中心となり、
この水銀含有製品を回収する事業が、
現在本格的に行われるようになりました。
海外では現在でも、
水銀を使用した製品が製造されているため、
医療機関等で回収された水銀は、
今なら海外に輸出できるそうです。
しかし水俣条約が発効されると、
製造から輸出入まで禁止されるために需要がなくなり、
処理コストが高騰すると考えられています。
そのため条約の発効前に、
今のうちにまとめて回収し処理していしまおう
ということになったようです。
ということで当院も、
京都府医師会から連絡を受け、
水銀血圧計、体温計を集めました。
当院は今では血圧計、体温計とも
全てデジタルのものを使用しておりますので、
現役の水銀含有製品はありません。
ただ、15年前までは病院でしたので、
いろいろ探しまわると少しばかり出てきました。
血圧計6台と体温計5本。
昨日すべて医師会に持ち込み、
回収してしていただきました。
費用は血圧計1台3,100円、
体温計1本1,080円で計24,000円でした。
高いのやら安いのやら。
でも各医療機関が個別に処理するとなると、
水銀血圧計1台あたり、
現在でも数万円のコストになるそうです。
今回は医師会が集中的に効率的に、
水銀を回収して処理するので、
コストが抑えられたとのことです。
今後出てこないことを祈っています(笑)。
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皆さんも家庭に眠っている、
水銀血圧計は少ないかもしれませんが、
水銀体温計などありませんでしょうか?
家庭にあるものに関しては、
地方自治体で回収してくれているようです。
京都市の方はこちらを参考になさって下さい。
【京都市情報館】
家庭で眠っている「水銀が使われている製品」の回収にご協力をお願いします!
今なら無料で引き取ってくれるようですので、
不要な体温計などは持ち込んで、
回収してもらうといいのではないでしょうか。
なお詳細につきましては、
各自治体にお問い合わせください。