京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院 京都市上京区
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リオ五輪とジカ熱

2016年7月27日

夏本番を迎え、
暑い日が続いております。
皆さん体調は如何ですか?

さて8月が近づき、
オリンピックまで後わずかです。
開会式は5日だそうです。

日本の各競技の選手団も、
少しずつ現地入りをはじめ、
にわかに盛り上がってきました。

4年に1度の祭典です。
選手たちには全力を出し切ってもらいたいと、
心から思います。

一方で今大会は、テロの懸念や治安の悪化、
政治の腐敗、経済の問題とか、
今までのオリンピックにはない不安も感じます。

セキュリティーは万全だろうか、
選手は競技に集中できるだろうかなどと、
余計な心配をしてしまいます。

また直前になりドーピング問題で、
ロシアの選手の参加が危ぶまれたりと、
クリーンなイメージも損なわれています。

と何となくマイナスイメージの多い大会ですが・・・、

さらに健康面で懸念されていることでは、
「ジカ熱」の流行が挙げられます。

「ジカ熱」はあまり聞きなれない病気ですね。
私も今回のブラジルでの流行で、
初めて名前を耳にしました。

私も医療従事者として無関心でいるわけにいかず、
医師会からもこの病気についての、
いくつかの情報提供、注意喚起がされております。

ということで今回は、
この病気について少しお伝えしたいと思います。

「ジカ熱」は正式には,
「ジカウイルス感染症」と呼ばれる
ウイルスによる感染症のことです。

ジカウイルスは1947年に、
ウガンダのジカ森林のアカゲザルから、
初めて分離されたそうです。

アフリカの森林や洞窟には、
エボラのように恐ろしいウイルスが潜んでいますが、
このウイルスもルーツはそこにあるようです。

過去には2007年ミクロネシアのヤップ島、
2013年にはフランス領ポリネシア、
2014年にはイースター島で流行したそうです。

 

日本では海外からの輸入例が過去に3例あり、
今回のブラジルでの流行では今年の2月に、
ブラジルからの輸入例が1例報告されています。

感染源となるのは蚊です。

デング熱と同じヤブ蚊属によって媒介されます。
日本ではヒトスジシマカというものだそうです。

しかしジカウイルス感染症には、
別の感染経路が存在すると考えられています。

報告では、胎盤や産道を経て、
母親から赤ちゃんに垂直感染する事例、
輸血や性行為で感染する事例があります。

ジカウイルス感染症で、
健康な子供や大人に感染した場合を、
「ジカウイルス病」と分類するそうです。

その場合約2割の人が、
2~13日の潜伏期間を経て、
皮疹や発熱などの症状が出現します。

そのほとんどは自然治癒するそうで、
重症化することはあまりないようです。

また母子感染により先天性異常をきたした場合は、
「先天性ジカウイルス感染症」と分類するそうです。

このあたりは報道されているので、
皆さんもご存知かと思いますが、
ブラジルでは小頭症の赤ちゃんが急増しています。

有効な治療は今のところないそうです。
そうなると、
感染しないようにする必要があります。

予防としては、
ワクチンがありませんので、
蚊に刺されないような対策が必要です。

皮膚が露出しないように、
長袖長ズボンを着用し、
虫よけスプレーで予防します。

また性行為での感染については、
どの程度の頻度で発生するかや、
精液中にとどまる期間はわかっていません。

従って流行地から帰国した男性は、
妊娠中のパートナーがいる場合には、
妊娠期間中は避妊具の使用が推奨されています。

今のところ国内での発生例はなく、
感染したとしても軽症で済み、
必ずしも怖い病気ではありません。

しかし現時点で、
詳しくわかっていないことも多く、
確定的なことも言えないようです。

何より妊婦さんが感染した場合には、
子供に先天異常をきたす可能性があり、
この部分に関しては事態は深刻です。

ということで今回のリオオリンピック、
様々な問題や懸念があり、
大会が無事に行われるよう祈るばかりです。

ブラジルは日本からは程遠く、
行かれる方は関係者を除いては、
それほど多くないと思われます。

ただ、
現地でオリンピックを、
じかに観戦するときには、

ジカに感染しないように、
注意なさってください!