2015年6月8日
梅雨に入りました。
自転車で通勤する私は、
天気予報が外れるとえらい目に遭います。
最近は自転車で傘もさせなくなりましたね。
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さて、
数回にわたり腸内細菌の話をしていますが、
今回はピロリ菌関連です。
皆さんはピロリ菌のことはご存知ですか?
ピロリ菌は胃の中に棲んでいる細菌で、
日本人の中高齢者に多数みられます。
胃がんの原因と考えられています。
そこでピロリ菌検査で陽性と出た方は、
胃薬と抗生剤を用いて除菌を行うのですが、
その除菌率は100%ではありません。
現在は1次除菌、2次除菌と、
2回の除菌が保険で認められていますが、
1次除菌での除菌率は約70%とされています。
1次除菌で不成功の方は2次除菌を行い、
2回の除菌を終えると全体の90%以上が、
最終的に除菌できるとされています。
その除菌率を上げるため、
プロバイオティクスを併用する試みがあり、
いくつか奏功しているものがあるようです。
効果があると思われるものを、
いくつかご紹介いたします。
● ヨーグルト 「LG21」
1990年代後半に、
東海大学医学部の高木教授と古賀教授が、
抗ピロリ菌作用のある乳酸菌研究を行ったそうです。
約200種類の乳酸菌から、
ラクトバシラスガセリOLL2716(ガセリ菌LG21)株が、
優れた特性を持つことを突き止めました。
特性とは、
・胃酸に強い
・胃の粘膜に付着しやすい
・ピロリ菌の増殖を抑える
・安全である
ということだそうです。
その後ヨーグルトとして開発し、
ピロリ菌患者さん229人を、
抗生剤のみと、抗生剤+ヨーグルトの
2つのグループに分け試験を行いました。
その結果、
抗生剤のみでは69.3%だった除菌成功率が、
ヨーグルト併用群では82.6%に上昇したそうです。
研究ではLG21乳酸菌入りヨーグルトを、
1日2個で4週間(除菌前3週間+除菌中1週間)
併用したとのことです。
従って除菌の治療前と治療中に、
LG21ヨーグルトを一緒にとると、
効果があるかもしれませんね。
● その他の乳酸菌
その他、
BF-1株 SN13T株 ロイテリ菌という乳酸菌も
ピロリ菌抑制効果が期待されています。
上記のLG21ほど、
きちんとした臨床研究はされていませんが、
期待できる抗ピロリ菌作用があるそうです。
主な作用は、
・ピロリ菌活性抑制効果
・抗ピロリ菌物質の産生
・胃粘膜保護作用
・免疫力強化
だそうです。
このあたりは、
割とゆる~い効果のようです。
これらの乳酸菌も、
ヨーグルトや乳酸菌飲料で売られています。
気になる方はチェックしてみてください。
● ミヤBM
当院でもよく用いている整腸剤です。
宮入菌という腸内細菌が含まれたお薬で、
生きて腸まで到達します。
芽胞という状態でお薬になっているため、
胃酸や抗生剤にも強く、
腸の中で増殖し酪酸を産生します。
整腸剤としての作用があり、
ピロリ菌除菌の抗生剤の副作用である、
下痢や腹痛を軽減する働きがあります。
また、臨床研究では、
ミヤBMを除菌の1週間前から投与すると、
除菌率が75%→91%に上昇したそうです。
これには宮入菌の、
ピロリ菌に対する静菌作用(殺菌作用はありません)が、
関与ししていると考えらえています。
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以上ご紹介した例を見ますと、
プロバイオティクスはピロリ菌除菌の、
ひとつの助けになる可能性があります。
殺菌作用はありませんので、
当然主役にはなりませんが、
優れた脇役として存在感を示すかもしれません。
また副作用がほとんどありませんので、
安心して摂取できるところが、
何よりも優れているところだと思います。
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当院受付カウンターには、
月替わりでその時期に因んだ折り紙があること、
ご存知ですか?
受付さんが毎月制作してくれます。
6月の作品はこちらです!
アジサイにカタツムリにカエル、
まさに梅雨の季節にピッタリの、
かわいらしい作品ですね。
カエルはお尻のところをはじくと、
大きくジャンプします。
お子さんに人気だそうです。
もし気に入ったら、
もらって帰ってもいいそうですよ!