2015年4月18日
『京都に住んでいて良かった!』
と思わせてくれる桜の季節もぼちぼち終わり、
梅雨のような天候が続いています。
もう少し春らしく、
ぽかぽか暖かくなってほしいと思う今日この頃ですが、
皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
さて、皆様は、
『専門医』という言葉を知っておられますか?
ニュースや新聞などでもよく聞かれると思います。
専門医は、その医師が何科を専門としているか、
その分野できちんとトレーニングを積んだ証として、
学会が認定する資格の様なものです。
医師は医学部を卒業し、
国家試験に合格したところで、
全ての診療科を診療する資格を得ます。
つまり、私が産婦人科の治療をしても、
眼科や精神科の診療をしても、
何ら問題ないのです。
すべての診療科を修得するのは、
不可能ですので、
多くの医師は専門科に進みます。
私は大学卒業後外科医を目指しましたので、
京都大学の外科学講座に入局し、
同時に日本外科学会に所属しました。
一般的には、「研修指定病院」と学会が定めた病院で、
4-5年トレーニングを積んだところで、
専門医の申請を行います。
申請資格は学会ごとに異なりますが、
全手術症例のサマリーや、学会発表などが
基準となっているようです。
私もまずは日本外科学会の専門医を取得し、
その後日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会の
専門医を取得しました。
この専門医、
一度とったら終わりではないんです。
5年ごとに更新が必要です。
更新申請資格として、
学会に何回か出席しているか、
所定の講演会に参加しているかなどがありますが、
外科学会の更新のためには、
5年間で100例以上の手術に従事することも、
条件の一つとしてあります。
5年間で100例の手術は、
通常外科医として勤務されている医師には、
簡単にクリアできる数字です。
週3件手術したとしても年間で150件です。
また執刀医ではなく助手としても、
件数とみなされるのでなおさらです。
しかし医師8年目から消化器内科に転科した私は、
手術に入ることがなくなったため、
これは大きなハードルとなりました。
当時、私は内科の上司にお願いし、
無理やり週1日の手術日を与えてもらい、
外科の手術に潜入しコツコツと症例を重ねました。
その甲斐あり前回の2012年の更新時には、
100件を超える手術件数となり、
無事に更新いたしました。
開業してからは、
自分で地道に症例を重ねました。
『手術の内容は問わない』とありますので、
10時間かかる食道がんの手術も、
30分で終わる痔の手術も、同じ1件です。
果たして私1人でやっていて、
手術件数をクリアできるのかと心配しておりましたが、
先日無事100例を超えることができました。
更新まであと2年ありますので、
割といいペースで来れたのだと思いました。
まぁ手術の内容は、
全て局所麻酔の小さな手術ばかりで、
褒められてものではありませんが・・・。
外科医で開業されている先生には、
やはりこの手術件数がネックとなり、
専門医更新を断念することが多いと聞いています。
私もいつまで更新できるかわかりませんが、
外科を標榜し、外科医としての原点がある以上、
専門医として続けていきたいと思っています。
ただし、この専門医、
あっても無くても全く診療には影響なく、
不思議な資格であることは間違いありません。
専門医が治療したとしても
手術を含め請求できる医療費は
全く変わりません。
資格を維持する費用がかかりますので、
専門医の多少の加算はあってもいいかと思いますが・・・。
日本の医師はその点、穏やかなのです。