京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院 京都市上京区
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日本の医療を変えた薬

2014年2月7日

小雪も舞い散る極寒の毎日ですが、
皆さん体調は如何でしょうか?

先日「日経メディカル」という雑誌で、
「日本の医療を変えた薬」
という特集を組んでいました。

各疾患で画期的であったと思われる薬を、
専門家が投票し順位を決めているものです。
最近の新薬もあれば、昔から使われているものまで
さまざまな薬が登場していました。

私の専門の消化器の分野では、
消化性潰瘍、逆流性食道炎の分野で、
「ランソプラゾール」という薬が1位になっていました。

商品名でいうと「タケプロン」です。
皆様も耳にされたり、
実際に処方されたことがあるかもしれません。

一般にはプロトンポンプ阻害薬といわれるお薬で、
類似のものには、オメプラール、パリエット、
それに最近発売となったネキシウムがあります。

いずれも胃酸の分泌を強烈に抑えるお薬で、
胃潰瘍、十二指腸潰瘍などに用いますが、
それまでの主流であった「ガスター」とはレベルが違います。

 

なかなか治りにくかった、
高齢者や栄養状態の悪い患者さんの潰瘍が、
より確実に治るようになったのです。

また持病で痛みどめなどを常時内服する方は、
胃が荒れて高頻度で胃潰瘍を患うのですが、
このお薬を一緒に飲んでおくだけで予防することができます。

発売から約20年ほど経過していると思われますが、
今のところ長期的に大きな副作用は、
報告されていないと思います。

 

最近でははやりの「逆流性食道炎」の治療に、
欠かすことはできないお薬です。
またピロリ菌の除菌に、抗生剤とセットで内服します。

それなので当院でも最も使用するお薬の一つです。

他に挙がっていたのは、
「高血圧」の分野でアムロジピンというお薬でした。
商品名では、アムロジン、ノルバスクとして知られています。

このお薬は「カルシウム拮抗薬」というカテゴリーで、
血管壁に作用し、血管を拡張させて血圧を下げます。
割と古くからあるお薬です。

 

高血圧のお薬では、有名な「ディオバン」がありますが、
それらはARBと呼ばれるカテゴリーで、
カルシウム拮抗薬よりは新しいお薬です。

ARBも大変良いお薬なのですが、
カルシウム拮抗薬が上位となった理由として、
「安全で確実な降圧効果」というのがありました。

誰かが言っていました。

ARBは4番バッター。
当たれば(降圧作用は)大きいが、
空振りに終わる(血圧が思うように下がらない)ことがあると。

それに比べてカルシウム拮抗薬はイチローのようなもの。
コツコツ確実に血圧をさげるのです。
なるほど分かり易い、と感心したのを覚えています。

また、最近注目なのは糖尿病治療薬です。
5年ほど前でしょうか、DPP-Ⅳ阻害薬というお薬が発売され、
糖尿病治療の体系が大きく変わりました。

今回の調査でも1位を獲得したのはこの薬です。
低血糖という最も怖い副作用を起こさない、
安全かつ有効なお薬で、今ではなくてはならないものです。

 

それに加えこの4月から糖尿病に新薬が発売されます。
こちらも今までの糖尿病薬とは違った作用ですので、
これまでの治療体系に変化が起きるかもしれません。

他にも高脂血症、気管支喘息、骨粗しょう症など、
23の疾患で調査が行われていました。
機会があればまたご紹介いたします。

医師は、薬なしに医療を実践することはほぼ不可能です。
日々新たな薬が開発され、
患者さんごとに上手に使いこなすのが仕事です。

近い将来小保方さんのような方が、
病気になった細胞そのものをリセットする万能薬を開発すれば、
今までとは比較にならない、医療の革新が起こるのでしょうね。

ロマンがありますね。