京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院 京都市上京区
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発症初期にインフルエンザを診断するには

2014年1月17日

寒い毎日が続いております。
皆さん体調は如何でしょうか?

今回はインフルエンザのお話です。
年末はおとなしかったインフルエンザですが、
とうとう京都でも流行が始まりました。

当院では1月11日に2人感染が見つかり、
今週に入ってからは4人診断されました。
B型が1人で、ほかはすべてA型です。

ご存知の方も多いかと思いますが、
インフルエンザの診断には、
多くの場合迅速検査のキットが使用されます。

キットを使うとおおよそ7分~15分で診断がつきます。
ウイルス量が多いときは数分で陽性が判定できます。
逆にウイルス量が少ないと、
感染していても陰性と出ることがあります(偽陰性)。

 

通常インフルエンザウイルスに感染すると、
1-3日の潜伏期間を経て発症します。
発症とは発熱とそれに伴う悪寒、倦怠感、関節痛などです。

気をつけなくてはならないのは、
発症初期はウイルス量が少ないため、
迅速キットは必ずしも陽性にならないということです。

一般的に迅速キットで診断が可能となるのは、
発症から12時間以上経過していることとされています。
24時間たっていればほぼ確実に判定できます。

 

検査で陽性と出れば間違いなく陽性ですが、
もし発症24時間以内で陰性と出れば、
本当に陰性かどうかわからないため(偽陰性の疑い)、
時間が経過してからもう一度検査する必要があります。

従って患者さんにとってみると、
発症してすぐ病院に行っても検査してもらえない、
インフルエンザかどうか診断がつかない、
ということになります。

診断が遅くなると、

・治療の開始が遅れ病状が悪化する。
・その間、家族や周囲への感染拡大の危険性が上がる。
・病院に2回来なくてはならず、時間と費用がかかる。

などデメリットが多くなります。

できれば、
発症してから早期診断を得たいものです。

そのような必要性もあり、
当院では昨シーズンから、
高感度の分析装置を導入しました。

富士フイルムの高感度ウイルス検出機、
富士ドライケム IMMUNO AG1
という装置です。

この装置はウイルスの標識に、
大きな銀の塊をくっつけることにより、
約100倍に増幅して測定することができます。

従って、
発症初期のウイルス量が少ない時期でも、
診断が可能とされています。

もちろん100%ではありませんが、
発症してから3時間が経過していれば、
検査の感度は判定できるまでに上がっているそうです。

実際に使用してみても感度は高いと思います。
熱がそれほど高くなく軽症の方でも、
この装置で拾い上げができるのではないかと思います。

当院は昨年からこの装置を2台導入し、
インフルエンザの早期発見に努めております。

なお、今年のインフルエンザウイルスには、
タミフルが効かない「耐性ウイルス」の報告があり、
注意が必要です。(昨年末札幌で6例報告あり)

現在インフルエンザに対する治療薬としては、
下記の抗インフルエンザウイルス薬があります。

オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル)
ザナミビル水和物(商品名:リレンザ)
ペラミビル水和物(商品名:ラピアクタ)
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(商品名:イナビル)

一般によく使用されるのは、
タミフル(内服薬)、リレンザ(吸入薬)、イナビル(吸入薬)ですが、
タミフル耐性ウイルスの可能性もあり、
今回はリレンザの使用が増えるのではないかと考えております。

 

幸い現在のところ、
すべての抗インフルエンザ薬に耐性を示すウイルスは、
認められていないとのことです。

2014年は1月下旬から2月上旬にかけて、
流行のピークになるとみられており、これからが本番です。
皆さんもどうかご注意をなさって下さい。

インフルエンザかもしれないというような、
高熱、悪寒、感冒様症状、頭痛、関節痛などが見られましたら、
早めにお近くのクリニックで相談なさってください。