京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院 京都市上京区
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認知症の対応はお早めに -その2-

2013年11月19日

寒くなってまいりました。
風邪が少しずつ流行ってきております。
インフルエンザはまだ出ておりません。

インフルエンザの予防接種で、
夜診になると多くの方がお見えです。
皆さんもお早めに打っておいてください。


さて、前回からの続きです。
今回は認知症の治療薬、
特にアルツハイマー型認知症のお薬を紹介します。

アルツハイマー型認知症のお薬は、
長年「アリセプト」という商品名のものが使われています。
1999年の発売以来、認知症といえばこの薬です。

 

脳内での神経伝達を担っているものの1つに、
アセチルコリンという物質があり、
アリセプトはアセチルコリンを補う働きを持っています。

具体的には、
アセチルコリンを分解する酵素の働きを抑え、
結果的にアセチルコリンを増やして作用します。

しかしアルツハイマーが進行すると、
このアセチルコリンそのものが少なくなるため、
アリセプトの効果も減弱します。

 

このようにアリセプトは、
アルツハイマーの進行そのものを止めるものではなく、
記憶障害などの症状を一次的に維持・軽減するものです。

効果は短くて1カ月、長くて2年とされています。
またすべての方に効果があるわけでもなく、
全く効かない方も少なくありません。

ということで、アルツハイマー型認知症のお薬は、
約10年間の間、アリセプトしかありませんでした。

副作用には、
嘔気・嘔吐・下痢などの消化器症状があり、
副作用のために使えない方も多くおられました。

その後この2、3年の間に、
新薬が次々と出ました。

新薬といっても、新しいお薬は1種類だけで、
他のものはアリセプトと同じ、
アセチルコリンのお薬です。

同じアセチルコリンのお薬でも、
パッチ製剤のものが登場ました。

パッチ製剤とは、シールのように皮膚に貼るお薬で、
皮膚からじわじわと薬の成分が吸収されて作用します。
これは副作用が出にくい投与方法といわれています。

実際以前に処方されたアリセプトが飲めず、
治療されていなかった患者さんも、
パッチ製剤は問題なく続けられたことがありました。

本当の意味での新薬は、
1種類だけですが出てきました。

メマリーという新しい作用を持ったお薬は、
今までと異なる、NMDAという受容体に作用するお薬で、
中等症から高度のアルツハイマーに使用できます。

このお薬が出たことで、
アリセプトで効果が出にくくなった患者さんでも、
併用投与ができるようになりました。

 

また夜間に歩き回ったり、暴言を吐いたりと、
認知症に伴って見られる興奮状態を抑えるため、
漢方薬の「抑肝散」が有効であることもわかってきました。

このようにアルツハイマー型認知症の治療は、
この数年で少しオプションが増えたましたが、
まだまだ画期的な治療とまではいかないようです。

少しでも早い時期に治療を開始し、
認知症の進行を遅らせることが、
現時点でできる効果的な治療と思われます。

皆さんもご家族やご近所の方で、
物忘れや話が合わないことが出てきたら、
一度専門家に相談されるようにしてください。

またはお近くのかかりつけ医に相談し、
認知症があるか、あるいは専門家に紹介する必要があるか、
判断してもらっては如何でしょうか。