2013年6月27日
今日は梅雨の合間の穏やかな天気ですが、
皆さんはむし暑さにやられていませんか?
さて、今回は風しんについてです。
風しんの大流行は皆様もよくご存知だと思います。
次のサイトのグラフをクリックして見てみましょう。
http://www.ritsumei.ac.jp/mng/gl/hoken/InformationRubella.html
例年とは明らかに違う曲線を描いています。
しかも、東京だけでなく大阪でも大流行です。
京都も決して少なくはないですね。
年齢別では20代から40代で多くなっています。
これは過去の行政の予防接種制度と
関係しているそうです。
現在23歳から34歳の女性と20歳以上の男性は、
予防接種を受けていない人が多く、
大流行の原因を作っていると考えられています。
どのように感染するかですが、
風しんウイルスは患者さんの喉から排出され、
飛沫感染(空気感染)します。
潜伏期間は2~3週間で、
発疹が出る2~3日前から出てから5日間程は、
感染力があるといわれています。
症状は発疹、発熱、リンパ節腫脹です。
症状がはっきり出ない不顕性感染もありますので、
診断は決して簡単ではありません。
発疹は多くの場合、赤く小さく、やや盛り上がっていて、
消えるのに数日かかります。
リンパ節腫脹は3から6週間続きます。
風しんは比較的予後が良好な感染症ですが、
まれに脳炎や血小板減少性紫斑病といった、
軽視できない合併症を起こすことがあります。
熱が出た、顔から全身に広がる皮疹がでたとなると、
風しんを疑い血液検査を行ないます。
この場合は初感染で上昇するIgMなどを測定します。
ご存知の通り、
風しんにかかって一番困るのは、
妊娠初期の妊婦さんです。
お腹の赤ちゃんに風しんウイルスが感染すると、
先天性風しん症候群の赤ちゃんが生まれることがあります。
心臓病、白内障、難聴といった障害を持つ病気です。
感染経路はお子様やご主人など、
一緒に生活している家族からうつることが多いため、
ご家族が感染を予防することが大切です。
予防としてはワクチン接種を行うのですが、
京都市では来月7月1日より来年の3月31日まで、
風しん予防接種の一部公費負担を行なうことになりました。
成人の風しんの予防接種は保険がきかないので、
通常は約1万円かかる負担が、
市の補助で、3500円で受けられるようになるものです。
対象は19歳以上の京都市民で、
①妊娠を希望している女性
②妊娠している女性の配偶者
となっています。
女性は妊娠している方以外は受けられますが、
男性は妻が妊娠していなければ受けられません。
予算の関係とはいえ、中途半端な対象設定です。
20代以上の男性が免疫を持たず、
流行のきっかけを作っているのを考えると、
男性の対象をもっと拡大すべきと考えます。
現在風しん単独のワクチンは、
需要に供給が間に合わず不足していますので、
MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)を使用します。
女性の場合、妊娠してからではワクチンは打てません。
妊娠の可能性のある方は、
必ず抗体価を測定するか、予防接種を受けましょう。
抗体のある方でも接種して問題はありません。
抗体価を調べてもいいですし、
もう調べずに接種してしまってもかまいません。
また流行が収束するためにも、
男性も積極的に予防接種を考慮してください。
特に20代から40代の働き盛りの方は、
風しんにかかると仕事を休まなくてはなりません。
また家族に移してしまうかもしれません。
女性は接種後2ヶ月は避妊をが必要ですが、
男性が接種した場合は避妊の必要はありません。
また、接種を受けても抗体が出来ない場合もあります。
しかしそのような方は約5%以下と考えられています。
2回目の接種を受けると1%にまで減少するそうです。
授乳中のワクチン接種は、
現在のところ乳児に影響なしとされていますので、
次の妊娠に備えワクチン接種が推奨されています。
とりとめのない話になって申し訳ありませんが、
申し上げたかったのでは、
①風しんの流行はとどまることを知らず。
②女性はもちろん、男性もワクチンを打ちましょう。
③京都市から公費負担の制度が7月から始まります。
の3点でした。
お役に立てれば幸いです。
京都市上京区 内科 吉岡医院
吉岡幹博