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食道胃接合部が語るもの その③ ~食道裂孔ヘルニア~

2013年5月16日

皆さん、急に暑くなって来ましたが、
体調管理は如何でしょうか?
昼になると、半袖でないとしんどいですね。

さて今回は、
「食道胃接合部が語るもの」シリーズの最後、
「食道裂孔ヘルニア」についてです。

先日私の外来に、
「検診の胃バリウムの結果、異常を指摘されました」
と男性が受診されました。

なんだか心配そうな顔をされ、
「どこか裂けているのでしょうか」とおっしゃいます。
所見欄には、「食道裂孔ヘルニア」とありました。

「ショクドウレッコウ」
一般の方は、ほとんど初めて聞く名称だと思います。
逆に「ヘルニア」は時々耳にしますよね。

 

食道と胃はつながっていますので、
そのつなぎ目のところで、横隔膜に穴が開いています。
それを食道裂孔といいます。

正常では食道裂孔の位置と
食道胃接合部の位置はほぼ一致しています。
下の図をご覧下さい。

食道胃接合部には、
下部食道括約筋という筋肉があり、
食道と胃の境をきゅっと締めています。

食道裂孔と下部食道括約筋の高さが、
一致することにより、
胃から食道への逆流を防いでいます。

それが食道裂孔より胃が食道側に飛び出すと、
食道裂孔ヘルニアとよばれる状態なります。
ヘルニアは本来の場所から外に出た状態を言います。

これになると、食道と胃の間のしまりが緩み、
胃の内容物が食道に戻りやすくなります。
これで起こるのが逆流性食道炎です。

胃カメラをしていると、
食道裂孔ヘルニアと逆流性食道炎は、
合併していることが多いです。

食道裂孔ヘルニアには3タイプありますが、
多くは1番左の「滑脱型」です。

原因は、肥満による内臓脂肪増加や
女性であれば妊娠、
高齢者では背骨が曲がる円背などがあります。

ただし原因不明の方も多く、
特に太ったりしていない若者でも良く見られます。
先天性(生まれつき)の方もいるとのことです。

やせた綺麗な女性でも見られることがあり、
そういう方は以前ダイエットで
食べたものを戻す習慣があったりします。

 

あと、ビールなどの炭酸飲料をよくのみ、
ゲップをしてしまう方も、
ヘルニアになっている可能性があります。

特にひどい食道裂孔ヘルニアのある方は、
胃カメラの検査が本当につらくなります。

逆流背食道炎を起こしているということと、
胃の中の観察で常に空気が食道に抜けるため、
検査中ずっと反射が起きるためです。

私も食道裂孔ヘルニアがありますので、
胃カメラを受けるのは実はしんどいです。
特に太っていたわけでもないのですが・・・。

 

ということで食道裂孔ヘルニアを見ると、
以前は太っていたのかなとか、
炭酸飲料が好きなのかなと考えます。

そういう方は胃カメラがとてもしんどいので、
出来るだけ麻酔を使って
苦痛の無い様に行なう必要があります。

胃もたれがあり食後ゲップがよく出る人、
逆流性食道炎の症状のある方は、
一度調べておきましょう。

見つかっても根本的な治療法はありません。
ものすごくひどい場合は手術を行ないますが、
適応となることは稀です。

そのため、胃酸を抑える薬で、
ヘルニアそのものではなく、
逆流性食道炎の治療を行ないます。

 

そして日常生活の中では、
・食後すぐ横にならない
・おなかいっぱい食べない
・脂っこいものは控える
・内臓脂肪を減らす
・炭酸飲料を控える
などの注意が必要です。

 

日常生活の楽しみが、
ほんの少し制限されてしまいますね。
皆さんもお気をつけ下さい。

 

関連ブログ

食道胃接合部が語るもの  その① ~逆流性食道炎~

食道胃接合部が語るもの  その② ~バレット食道~