2013年4月24日
4月も下旬ですが、朝方は寒い日がありますね。
私も1週間前から少し風邪気味です。
皆様はいかがでしょうか?
小児科では未だにインフルエンザが出ています。
現在はインフルエンザBが散発的に流行っています。
小さいお子様をお持ちの方は、ご用心下さい。
さて、
今年2月にピロリ菌除菌の保険適応が、
慢性胃炎にまで拡大されて2ヶ月が経ちました。
これまでは胃カメラをしていても、
潰瘍などの病気がなければ、
ピロリ菌の検査、治療はできませんでした。
それが今では、慢性胃炎(萎縮性胃炎)の所見があれば、
そのまま検査で確認できるので、
とても意義のあることだと思います。
最近は、
「ピロリ菌がいるかどうかの検査だけしてほしい」
という相談をよく受けます。
胃カメラを受けずに検査、治療をしたい方です。
それを保険診療でできるかということを聞かれます。
答えは・・・「できません」。
私も個人的には、まずピロリ菌の検査をして、
ピロリ菌がいる人にはのみ胃カメラを受けていただく、
という流れでもいいのではないかと感じております。
ただ現時点での話ではありますが、
厚労省はあくまで、胃カメラで慢性胃炎を認めた方からだけ、
その後のピロリ菌検査、治療を認めております。
「胃カメラ」 → 「ピロリ菌検査」
この順番でなければ、保険適応にはなりません。
残念ながら、ルールです。
確かに胃の病気はピロリ菌だけでありませんので、
ピロリ菌が陰性を理由に胃カメラを省略するのは、
少し危険かもしれません。
では症状の無い方は、
ピロリ菌を調べるだけでいいと思われますが、
基本的には無症状の方は保険診療が出来ません。
以上のことを考えると、
胃の症状ある方は、まず胃カメラを考慮します。
もちろん胃カメラは保険診療で出来ます。
胃カメラと同時に、又はその後にピロリ菌検査を行ない、
ピロリ菌陽性であれば保険診療で除菌する、
というのが本筋かと思います。
もし胃に症状が無い方でピロリ菌の有無だけを調べたい方、
出来れば胃カメラを回避したい方は、
自費でピロリ菌検査を受けていただく方法があります。
その結果により陰性であれば経過観察、
もし陽性であれば、その後は保険診療で胃カメラ、除菌。
それでもいいような気がしますね。
あくまでも、ルール上の問題です。
ピロリ除菌は胃癌を予防することが大きな目的です。
ピロリ菌の感染率が下がると、
もう少し先の将来、胃癌は減ると考えられています。
ピロリ除菌が慢性胃炎にまで拡大されたことを受けて、
北海道大学の浅香正博先生などは、
今年を「胃癌撲滅元年」と位置づけておられます。
本気で国策として胃癌を撲滅するのであれば、
症状の如何に問わず全員がピロリ菌検査を受け、
除菌をするのが好ましいと思います。
しかしながら、
それを全て保険診療でまかなうには、
医療費の財源が確保できないのではないでしょうか。
現時点では胃カメラというハードルにより、
ピロリ菌の保険診療の財源が不足しないように、
目には見えない制限をかけているような気もします。
今後アベノミクスが功を奏して景気が大幅に改善したり、
日本の領海で大量のレアアースが採掘されたりすれば、
全員が無条件にピロリ除菌できる日が来るかもしれません。
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先日某東京のテレビ局より、
京都の旅番組の中でピロリ菌を紹介するので、
検査をお願いできないか、と依頼されました。
全国ネットとのことで有名人でも来るのかと思いましたが、
検査されるのは京都在住の一般の方のようです。
特に断る理由もないのでお受けしました。
旅番組でピロリ菌って、どんなんでしょうか?
それだけ世間のピロリ菌に対する関心が高いのでしょうか?
また、放送日が分かればご案内します。
もっともその番組では、
当院の建物も私も、全くテレビには映りません。
ただ検査の協力をするだけです。
もしどうしても出演してくださいといわれれば・・・、
エキストラぐらいが精一杯ですね。