2013年4月5日
春の柔らかな陽射しが、
心を和ませてくれる季節になりました。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
今年は桜の開花は例年よりやや早いようですが、
丁度休みの日に限って天気が悪く、
のんびりとお花見は出来でいません。
今週末も楽しみにしておりましたが、
天気予報では、日本全体が大荒れになるとのこと。
今年はどうもタイミングが上手くいきません。
さて、最近は花粉症は一段落しましたが、
大陸からの有害大気汚染物質などの飛来もあり、
咳や痰、喉の痛みで来院される方が多くなっています。
アレルギー疾患をお持ちの患者様には、
頑固な咳が続くなどのケースがあります。
だいたい、3週間たっても改善しない方は、
「慢性咳嗽」と呼ばれ、原因の検索が必要となります。
その中には、気管支喘息の患者さまが含まれます。
慢性咳嗽のみで、呼吸困難を伴わないものは、
咳喘息と呼ばれ、診断がつきにくい場合もあります。
当院ではそのような疑いのある患者様に対し、
喘息の診断の助けとなるように、
また治療の効果を判定するために、
スパイロメータという機械を購入いたしました。
スパイロメータとは、呼吸機能検査を行う装置です。
呼吸機能検査とは、肺活量や1秒間にはく息の量を計測し、
どのような障害が起こっているか判定する検査を言います。
これは、SP-370COPD肺Per/肺Perプラス
フクダ電子のスパイロメータです。
この機械、見た目はコンパクトですが、
大変よく出来ています!
肺機能検査を確実に行なうには、
患者様が最大限の力を出す必要があります。
心電図や血液検査と異なり、
肺活量や息を吐くスピードなど、
患者様が全力の状態が検査結果となります。
ピッチャーで例えると、
MAX何キロのボールが投げられるか、
測定しているのと同じです。
そのためには、どのタイミングで息を大きく吸って、
何秒間息を吐き続けるなど、
検査の方法を正しく理解し、測定しなければなりません。
この機械は、初めての患者さまでも分かるように、
検査の手順ををアニメーションを使って、
視覚的に教えてくれます。
そして医師や看護師がとなりで、
「大きくすってー」や「思いっきりはいてー」など、
患者様のタイミングにあわせ声をかけて、
最大限努力した呼吸機能を測定することができます。
あらかじめ入力された患者様の情報から、
おおよその曲線がすでに描かれており、
それと実際の曲線がある程度一致しているか見ます。
それが合っていれば検査はきちんと行なえていますが、
一致していなければ、確実に出来ていないことがあります。
それを機械が「妥当性」として評価してくれます。
何回か行なうと、「再現性」の評価も機械が行ないます。
そして一番いい結果のものを選んでくれます。
賢い機械ですね!
呼吸機能検査は、医師が一方的に行うのではなく、
患者さんが精一杯頑張って初めて成立する、
なかなか奥が深い検査なのです。
この検査で分かる代表的な病気は2つあります。
① 気管支喘息
② COPD(慢性閉塞性肺疾患、別名タバコ肺)
気管支喘息では、気道が狭くなるので、
息を吐くスピードが遅くなります。
(閉塞性障害といいます)
COPDでは、タバコで破壊された肺胞のために、
肺活量の低下がみられます。
(拘束性障害といいます)
最終的にそれら結果を総合判定され、
起こっている障害の種類を診断するとともに、
「肺年齢」が表示されます。
ひどい喘息があったり、
タバコをすっている方は要注意です。
一度ご自身の肺年齢を調べられてはどうでしょうか。
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当院の職員でこの機械の取扱いを練習していたところ、
某小児科担当の看護師さんが、
実年齢よりも20歳も若い結果を出しました。
一瞬、この機械の信憑性を疑ったのですが、
他の職員(私も含め)は、
比較的妥当な結果が出てしまいました。
それ以来、私はその看護師さんの言うことは、
何でも聞くようにしています。