2012年9月21日
9月も早いもので下旬にさしかかろうとしています。
ようやく、暑さも和らいでまいりましたが、
まだ安心するのは早いでしょうか?
当院では9月より、骨粗鬆症の検査、
骨密度測定を開始しました。
手のレントゲンを1枚とる簡単な検査です。
骨粗鬆症は、骨密度の低下と骨質の劣化により、
骨強度が低下する病気です。
単に骨密度だけでなく、骨の質も関係します。
40歳以上の有病率は
大腿骨頚部(大腿骨の股関節付近)で、
男性12.4%、女性26.5%と女性に多く見られます。
びっくりするぐらい、多いと思いませんか?
40歳以上の男性では9人に1人、
女性では4人に1人が骨粗鬆症という計算です。
女性は40代後半から、50代付近の閉経後に、
女性ホルモンの減少とともに、
著しく骨密度が低下します。
そのため70代に突入すると、特に病気がなくても
骨密度が、一般的な若い人の70%以下に落ち、
自然と骨粗鬆症になっていきます。
骨粗鬆症がひき起こすのは、
腰椎の圧迫骨折や、股関節付近での
大腿骨の骨折です。
いずれもひどい場合は歩けなくなり、
年をとってから起こすと、寝たきりになりかねません。
寝たきりになると、それが原因で死亡率が上ります。
どのような方が骨粗鬆症になりやすいかというと、
50歳以上の女性で体重の軽い方、
両親に大腿骨骨折歴のある方、
喫煙者、ステロイド薬を使用中の方、
アルコールを大量に飲まれる方、
糖尿病、などです。
最近ではWHO(世界保健機関)が作成した
WHO骨折リスク評価ツール、FRAXというのがあります。
ネット上でダウンロードできます ↓
https://www.sheffield.ac.uk/FRAX/?lang=jp
これに必要な項目を入力すると、
今後10年間に起こる、骨粗鬆症を原因とした骨折の
発生率を調べることができます。
身長、体重を間違えず、各項目を入力、あるいは選択し、
12.大腿骨頸部BMD というところは入力せず、
最後に、計算するというところをクリックします。
すると、Major osteoporotic(骨粗鬆症性骨折)と、
Hip fracture(大腿骨頸部骨折)の発生率が表示されます。
15%以上であれば、治療が必要とされています。
75歳以上の女性では90%以上が骨折率15%となるため、
この基準は75歳未満を対象としています。
これらの危険因子のある方は必ず骨密度の測定をしましょう。
また、70歳以上の女性の方は、
危険因子がなくても一度は測定しましょう。
そして将来起こるかもしれない骨折を、
未然に防ぐようにしましょう。
骨密度の低下が認められれば、
生活習慣の改善と、食生活の改善とともに
お薬で治療します。
お薬の治療はいくつかの種類があります。
① カルシウム薬
② 女性ホルモン薬
③ ビタミンD薬
④ ビタミンK薬
⑤ ビスホスホネート薬
効果が高いのは⑤のビスホスホネート薬です。
このお薬は骨を溶かす破骨細胞の働きを抑え、
骨密度が低下するのを防ぎます。
ただ、長期間飲むと、骨の質が落ちることがあり、
それはそれで骨折のリスクとなるため、
2年から5年程度で一度中止することが多いです。
あと、効果があるといわれているのは、
②の女性ホルモンの補充と、③のビタミンD製剤です。
これらを単独、または組み合わせて使用します。
団塊の世代が高齢者となる今日、
骨粗鬆症はとても重要な疾患になりつつあります。
背骨が曲がったり、背が縮んだりとするようなら、
骨粗鬆症が原因かもしれません。
一度かかりつけのお医者さんと相談してください。