2012年8月29日
肛門疾患は大きく分けて
① 内痔核
② 外痔核
③ 裂肛
④ 痔瘻
に分けられ、この4種類で大半を占めます。
①の内痔核に対しする治療としては、
これまでは手術で切除するのが一般的でしたが、
最近では切らずに治すことができます。
内痔核は肛門より内側、
直腸下端の粘膜がはれて出血する、
内側のいぼ痔のことです。
直腸には痛みを感じる神経が走ってないので、
痛みはあまりなく、出血や脱出が主な症状です。
初期には軟膏治療しますが、
大きくなってきて、肛門から出たり入ったり
するようになると何らかの処置が必要です。
従来の痔を切る手術は、通常入院で行い、
術後も切った場所の痛みを伴いますが、
注射による硬化療法はそれら負担が軽いのが特徴です。
肛門から肛門鏡という簡単な器具を挿入し、
内痔核の腫れている部分、出血部位に、
痔を固める注射をします。
この治療は、分かりやすく言いますと
腫れて粘膜がたれさっがっているところに、
アロンアルファのような接着剤を注射するようなものです。
注射した場所で、強い炎症反応が生じ、
患部へ流入する血管がつぶれ血行が遮断されます。
それで腫れて大きくなっていた痔核が縮小します。
また、垂れ下がって肛門から出ていたところも、
本来の位置で接着剤のように固定されるので、
肛門からの脱出もなくなります。
この内痔核硬化療法は、当院では日帰りで
受けていただいております。
手術中や手術後の痛みも軽いのが特徴です。
ただし、外痔核が大きいもの、
内痔核が飛び出して戻らない(嵌頓痔核)などは、
適応外のこともあり、慎重な見極めも必要です。
また出血が多い方は、年齢などを考慮し、
直腸がんの有無などを事前に調べる必要もあります。
痔以外の病気の可能性もあり、注意が必要です。
診察はいつでも行なっておりますので、
ご都合の良いときに当院外来を受診してください。
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ちなみにですが、
「内痔核硬化療法」は治療法の名前、
「ジオン注」は硬化療法に使用する注射薬の商品名です。
また「ALTA療法」は、ジオン注に含まれる、
アルミニウムカリウム・タンニン酸の頭文字をとって
名づけられた、この薬剤を用いた硬化療法の名称です。